4G苦戦で16年1-3月期に85%減益、下期の巻き返しに期待高まる

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00762 中国聯通(香港) (チャイナ・ユニコム(ホンコン))  9.93 HKD
(04/19現在)
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チャイナ・ユニコムは4月18日、2016年1-3月期決算が前年同期比85%の大幅減益となる見通しを発表した。この数字は同社経営陣が事前に示したガイダンスの範囲内。ただ、経営陣は16年下期の巻き返しを見込んでおり、サービス収入や加入者純増数などの最新指標もすでに、苦境を抜け出す兆しを見せている。同社にとってはこの先、4Gサービスが極めて重要。データ通信ブームの恩恵を受けるためにも4G加入純増数を伸ばし、市場シェアを回復させる必要があるという。BOCIはネットワーク設備投資の増大を反映させる形で、16-18年の利益見通しを減額修正。これに伴い目標株価を引き下げながらも、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

同社経営陣によると、16年1-3月期の純利益は前年同期比85%減の4億8000万元にとどまる見通しだが、これは前の期(コア純損失45億5000万元を計上)からの大幅な業績改善を意味する。モバイルサービス収入は引き続き減少したものの、サービス収入全体は6四半期連続で下げた後、1-3月期に上向きに転じたという。

一方、1-3月期には鉄塔設備のリース料や公共費を含むネットワーク運営費用が前年同期比37%増大した。中国の通信キャリア3社は鉄塔資産を共有するため、中国鉄塔股フン有限公司(鉄塔公司)を共同設立したが、これにより鉄塔公司への資産譲渡益を計上する半面、リース関連経費が膨らむ結果となった。チャイナ・ユニコムにとって、16年の最優先課題は15年下期にスタートした4Gサービスの本格展開。同社が3Gサービスを開始した2010年にはコア利益が前年比68%減の37億元にとどまり、その後12年にようやく、3G以前の利益レベルを回復したが、BOCIは当時の経緯に触れた上で、今回の4G初期段階の業績悪化は許容範囲内とみている。

携帯電話加入件数の純増数は1-3月期に661万件。14年以来初めて、四半期ベースの加入純増数が上向きに転じた。これまでの苦戦は4Gサービスの後発であることが響いたため。同社の3Gサービス規格FDD-LTEは相対的にパフォーマンスレベルが高いものの、やはりデータ通信のヘビーユーザーが競合2社、チャイナ・モバイル(00941)、チャイナ・テレコム(00728)の4Gサービスに乗り換えたことが痛手となった。ただ、チャイナ・ユニコムの新たな経営陣は劣勢を挽回するため、設備投資予算の全てを4Gに投下する方針であり、チャイナ・テレコムとのネットワーク共有提携にも動き出している。4G FDD-LTEネットワークが16年末に稼働すれば、通信パフォーマンスで他2社に追いつく見込み。BOCIはチャイナ・ユニコムの4G加入純増数が四半期当たり約1500万件のペースで推移し、16年末には総数1億600万件に達すると予想。4G加入者の拡大に伴い、16年1-3月期以降はARPU(加入者1人当たり月額収入)も上向きに転じるとみている。