本土系銘柄との比較で逆ざやリスクの低さを評価、市場の多様性や販路も強み

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01299 友邦保険控股 (AIAグループ)  44.60 HKD
(04/14現在)
 株価
 企業情報
 チャート

BOCIはAIAグループの株価の先行きに対して強気見通しを示している。中国本土系の保険銘柄と比べ、相対的に高くかつ安定的な収益成長を見込み、事業エリアの多様性や高品質の補償型商品を重視する戦略、販路の強化などを理由に挙げた。同社の現在株価は2016年予想PERで16.9倍、同予想P/EV倍率(株価EV倍率:EV=エンベデッドバリューは保険会社の企業価値を示す指標)で1.7倍、予想PBR(株価純資産倍率)で2.1倍の水準。2桁台のROE(株主資本利益率)を背景に本土系同業銘柄を上回る水準にある。ただ、BOCIは本土系銘柄との比較で、同社の逆ざやリスクが明らかに低いと評価し、現在株価のバリューションは引き続き魅力的な水準にあるとみている。

保険需要の伸びが期待できるアジア太平洋地域の18市場をカバーする点でAIAグループは希少性が高く、事業エリアの多様性が強み。香港やタイ、シンガポールなどの主要市場では業界トップの座を誇る。BOCIは香港および中国本土が向こう5年間、引き続き成長エンジンになるとみる半面、ASEAN(東南アジア諸国連合)市場の成長性の向上を指摘。16-18年度の新契約価値(新契約から得られる将来利益の現在価値)が年率約20%の伸びを示すとみている

AIA中国は補償型商品により力を入れている点で本土系保険各社とは異なり、投資リターンに対する敏感度が相対的に低い。BOCIは同社の規律ある価格決定システムを理由に、現在の利下げ局面においてEVの低下リスクが相対的に小さいとの見方だ。また、同社は顧客との関係緊密化を目指し、健康的なライフスタイルを支援する「AIAバイタリティー」などの新型サービスを打ち出しており、BOCIはこの点について、顧客忠誠心の向上だけでなく、長期的なビッグデータの活用にも期待できるとしている。

販売面ではバンカシュアランス(保険商品の銀行窓口販売)に関するシティバンクとの独占パートナーシップが進展をみせている。BOCIはこの提携が代理販売チャネルの補完を意味すると指摘。販路の大幅な強化につながるとみている。15年度(15年11月通期)にはバンカシュアランスを通じた新契約価値がおよそ50%の伸びを記録。BOCIはこのチャネルを通じた新契約価値の一段の伸びを楽観している。

BOCIは保険銘柄の業績が株式市場のパフォーマンスや金利動向の影響を受ける点に言及しつつも、16年予想P/EV倍率1.9倍をあてはめて目標株価を設定し、同社株価の先行きに対して強気見通しを付与した。この目標株価は同予想ROEVで12.5%、継続価値伸び率で3.0%、ディスカウントレートで8.0%相当の水準となる。

なお、BOCIは2月末のリポートで、本土系保険セクターに対するレーティングを引き下げた。高保証利率商品の売れ行き好調などに起因する長期的な逆ざやリスクの高まりや金融緩和に伴う短期的な利益縮小圧力が主な理由。