高速鉄道投資の強化が追い風、地下鉄事業や海外事業も成長エンジンに

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03969 中国鉄路通信信号 (チャイナ・レールウェイ・シグナル・アンド・コミュニケーション)  4.54 HKD
(04/13現在)
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BOCIは鉄道設備セクターの2015年通期決算を精査した上で、インフラ銘柄の値上がり局面における中国鉄路通信信号の出遅れ感を指摘。現在株価の16年予想PERが11.6倍(同業銘柄平均は14.2倍)にとどまるとし、同社をトップピック銘柄とした。16年予想PER14.0倍をあてはめて目標株価を据え置き、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

BOCIによると、同社株の出遅れは経営陣が15年のIPO時に示した利益成長見通し(年率平均25%を予想)に対する市場の懐疑的な見方が理由。ただ、BOCIは16年、17年、18年の予想利益成長率をそれぞれ前年比14.8%、15.3%、15.1%と、経営陣が示した利益見通しを20-25%下回る控えめな水準に維持した上で、現在株価の低バリュエーションを指摘した。中国当局が鉄道投資予算を高水準に維持したことに加え、国内の鉄道電化率の引き上げが信号システム需要の伸びを後押しすると予想。「第13次5カ年計画」(16-20年)の鉄道完工規模の40%を高速鉄道が占めるとみて、その恩恵が同社に及ぶ見通しを示した。

中国政府は16年の鉄道投資予算を前年並みとなる8000億元の高水準に設定しており、今5カ年の同予算は3兆8000億元に達する可能性が高い。また、今5カ年中に新たに開通する見通しの鉄道総延長は3万kmで、うち1万2000kmは高速鉄道。BOCIはこうした状況から、同社のファンダメンタルズは安定的とし、一段の下値余地は限られるとみている。

また、同社は都市部の地下鉄信号システムにおいても国内の最有力企業。BOCIは同社本体および仏アルストムとの合弁子会社Cascoのシェア拡大を見込み、国内鉄道セクター全体を上回る成長を予想している。

この他に成長けん引役として期待されるのはトラム事業と海外事業。BOCIは中国都市部における今後の投資拡大見通しを理由に、トラム事業に関して楽観的。海外事業に関しても現在の売上構成比がわずか2.2%にとどまる点に触れ、国家の対外発展戦略「一帯一路」を背景としたこの先の成長を見込む。同社は今後、インドネシア、ハンガリー、ブラジル、ロシア、マレーシアでプロジェクトに参加する運び。英国での事業に関わる可能性も高いという。

BOCIは現在株価が16年予想PERでわずか11.6倍の低水準にあるとし、1株当たりの手許現金が1.67元と、現在株価の43%に相当すると指摘。同社株価は本来、同業銘柄と同等のバリュエーションに値するとしている。ちなみに同業銘柄の16年予想PERを見ると、株洲南車時代電気(03898)は14.1倍、中国中車(01766)は14.2倍。BOCIは同PER14.0倍をあてはめた上で、目標株価を設定。ファンダメンタルズの堅調や低バリュエーションを理由に、同社をトップピック銘柄の一つとしている。