15年本決算は堅調、非キャリア向けTISやメンテ業務が今後の成長エンジンに

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00552 中国通信服務 (チャイナ・コムサービス)  3.54 HKD
(04/01現在)
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中国通信服務の2015年12月本決算は、純利益が前年比8.6%増の23億元と、ブルームバーグのコンセンサス予想並みの水準に達した。売上高は同10.6%増の809億元。国内通信キャリアによる4Gサービスの開始を受け、主にネットワーク設計、建設、メンテンナスの3事業が成長をけん引した。粗利益率は前年の14.6%から14.1%にやや低下したものの、BOCIはキャリアによる設備共有などの点で業界の趨勢が変化する中、堅調を維持したとして前向きに評価。今後はIT/通信ネットワーク関連の専門技術を強みに、急成長局面にある企業ITインフラ市場で同社が存在感を発揮するとみている。利益見通しの下方修正に伴い目標株価を引き下げながらも、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

15年通期決算をけん引したのは主力の通信キャリア向け業務。キャリア各社のネットワークインフラ需要の伸びを背景に、この分野に資源を集約させたためで、非キャリア向けの増収率はキャリア向けを下回った。非キャリア向け事業および海外事業が15年の売上全体に占める割合は19.3%。

中国の通信キャリアが鉄塔資産を共有する目的で中国鉄塔股フン有限公司を共同設立したことや、その他インフラ設備に関しても共有を検討していること、さらに4Gネットワーク向けの初期投資が一段落したことなどから、16年には設備投資が細る見込み。BOCIはキャリア3社の合計で、前年比14%減の計3770億元にとどまるとみている。通信ネットワーク設計、建設、保守点検などの請負大手である中国通信服務には、投資縮小によるマイナス影響が及ぶ見通しだ。ただその一方で、経営陣は非キャリア向けTIS(通信インフラサービス)業務の先行きに対して楽観的。15年には政府機関や企業によるクラウドコンピューティング、IDC(インターネットデータセンター)などの構築需要が伸びたためで、このトレンドは16年も続く見通しという。

また、15年にはネットワークメンテンナス事業が成長けん引役の一つとなり、前年比19.8%の増収を達成したが、この事業も引き続き有望。BOCIは理由として、通信キャリア2社、チャイナ・ユニコム(00762)とチャイナ・テレコム(00728)によるネットワーク提携が進みつつあることを挙げた。チャイナ・テレコム系列のネットワーク設計を手がけた中国通信服務は両社の4G FDD LTEネットワーク共有化関連業務において競争力が高い。ほかにキャリアのネットワーク運営費が16年に前年比21%増大する見通しや非キャリア向けのメンテ業務アウトソーシングの増加見通しも追い風という。

一方、フリーキャッシュフローは15年に前年比328%増。経営陣は1株当たり0.0101元の特別配当を実施する方針であり、年間配当は1株当たり0.1112元。前年比19.4%の増配となった。