15年本決算で黒字転換、国内ガソリン価格の据え置きで当面の好決算持続を予想

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00338 中国石化上海石油化工 (シノペック・シャンハイ・ペトロケミカル)  3.73 HKD
(03/17現在)
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中国石化上海石油化工は2015年12月本決算で32億4600万元の純利益を計上し、前年の7億1600万元の赤字から黒字転換を果たした(中国会計基準)。この数字は経営陣が事前に発表した利益見通し通りの水準(31億4000万-33億4000万元)。特に10-12月期が好調で、同期純利益は前期比でほぼ倍増となる10億元を記録した。国際原油相場が大きく下げる中、中国政府が国内のガソリン価格、軽油価格を据え置いたことで、同社全体の粗利益率が前期の7.2%から9.1%に改善し、10-12月期の好決算を支えた。

BOCIは16年通期について前年比30%の増益を予想している。短期的には15年10-12月の力強い業績が続くとの見方であり、石油精製、石油化学両部門の好調を見込む。中国の国家発展改革委員会(NDRC)は原油価格と連動させる形で国内の石油製品価格を調整してきたが、16年1月13日にはエンドユーザー向けガソリン価格、軽油価格について下限を設定。「国際原油価格が1バレル当たり40米ドルを下回っても、石油製品価格のそれ以上の引き下げは実施しない」とした。一方、ガソリン・軽油の工場渡し価格は原油相場が40米ドルを割り込んでも価格調整の対象であり、NDRCは2つの価格の差額分を「リスク準備金」として積み立て、省エネルギーや排出削減、石油製品の品質向上、石油供給の確保などに充てる方針を明らかにしている。ただ、現段階ではリスク準備金の詳細は発表されておらず、BOCIはこの分が石油精製事業者の利益として計上されているとの見方。親会社シノペック(00386)の石油精製部門の利益率が直近の最高レベル付近まで上昇している可能性が高いとした。短期的には中国石化上海石油化工の利益率も高水準で推移すると予想。4月後半まで現状が続いた場合、16年1-3月期も力強い収益レベルを維持するとみている。

一方、BOCIによると、エチレン生産施設の稼働率は世界的に高水準を維持するとみられ、同社の石油化学事業の好調を示唆している。15年後半に低水準を記録した主要化学製品のスプレッド(製品価格から原料価格を差し引いた値)も16年に入ってから回復傾向にあるという。

BOCIは同社の16年の利益見通しを61%大きく増額修正した(国際会計基準)。10-12月期の好決算に加え、原油相場見通しの下方修正を反映させたため。16年のICEブレント原油相場に関する予測を1バレル=48米ドルから38米ドルに修正。17年についても同52米ドルから50米ドルに引き下げている。ただ、BOCIは「リスク準備金」となるはずの石油製品の差額分が現段階では同社利益として計上されているとの見方。同準備金に関する詳細が発表された後に、この要因を利益モデルに反映させるとした。また、16年予想PBR1.7倍をあてはめる形で、H株の目標株価を上方修正。力強い収益見通しを理由に、同社H株、A株の双方に対して強気見通しを示している。