ブローカーおよびM&A助言業務の大手、独自の強みを高評価

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
06886 華泰証券股フン有限公司 (フアタイ・セキュリティーズ)  14.12 HKD
(02/15現在)
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華泰証券は同業各社に先行し、ブローカー(委託売買)業務の変革において最も難しい段階をクリアしたと見られる中国の有力証券会社。2013年に低価格のオンラインブローカー業務のキャンペーンを実施したこの分野のパイオニアであり、国内大手のネット証券プラットフォームを持つ。一方、同社はM&Aフィナンシャルアドバイザリー(FA)業務でも国内大手であり、14年には自社の強みを活かしてM&Aファンドを創設。17年以降にかなりのイグジット・リターンを得る見通しとなった。BOCIは同社独自の強みを高く評価し、16-17年にはこれが業界全体の下降サイクルに逆らうための成長エンジンになると予想。H株同業銘柄との比較でプレミアムに値するとして、同社をH株証券セクターのトップピックとしている。

同社のブローカー業務の手数料率はすでに、セクター平均およびH株平均に対してそれぞれ46%、41%のディスカウント水準にあり(15年1-9月)、一段の下落余地が小さい。また、各種のビジネスチャンスにつながる膨大な顧客基盤を持つことも同社の強み。リテール顧客数は15年上期に800万人を突破し、業界大手となっている。

ブローカー業務においては低価格のオンライン戦略が奏功し、14年上期に中信証券(06030)を抜いて国内トップに浮上。15年のシェアは8.4%と、2位の中信証券を2.8ポイント上回った。一方、信用取引市場における同社シェアは15年に5.0-6.5%と、ブローカー業務のシェアに比べて小さいが、これは大半を占める小口顧客が低リスク志向であることなどが影響しているもよう。

M&A FAビジネスの大手としての地位は力強いビジネスチームとブランド知名度の強さが背景。BOCIの推定によると、14年に開始したM&Aファンド業務の運用資産は100億元規模に上るという。

BOCIによると、同社とその他H株同業銘柄との違いはブローカー業務の大手の座(実店舗数は業界で下から2番目)や、手数料率の際立った低さ、業界大手のM&A FAビジネス、力強い資産運用ビジネスなど。15-17年については、営業収益が前年比110%増、18%減、20%増と推移すると予想。純利益に関しては同135%増、18%減、27%増を予測している。一方、同社の潜在リスクとしては、市場競争の激化がブローカー業務およびM&A FA業務を圧迫する可能性や、A株市場の売買規模がさらに縮小する可能性、会長交代によるマイナス影響などが挙げられるという。

同社の現在株価は16年予想PBR0.98倍と、中国銀河証券(06881)を除くH株同業銘柄より6%ほど高水準にあるが、BOCIは同社独自の強みを理由に、現在株価を魅力的水準と受け止めている。また、A株市場の回復に伴い、セクター全体のバリュエーションが回復する可能性に言及。同社株価の先行きに対して強気見通しを示している。