15年本決算で50-60%増益見通し、多額の為替差損計上もコア利益は好調

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00175 吉利汽車 (ジーリー・オートモービル)  3.69 HKD
(01/07現在)
 株価
 企業情報
 チャート

吉利汽車はこのほど、2015年12月本決算の純利益が前年比50-60%増の21億5000万-22億9000万元となる見通しを発表した。これはロシア業務の為替差損や米ドル建てシニア債の換算差損を織り込んだ数字であり、この2つの経常外損失(BOCIの推定で計3億元超)を除外した場合、同期のコア利益はほぼBOCIの予想通りとなる。BOCIは同社のニューモデル発売計画を理由に、16年の販売目標(前年実績比18%増の60万台)の達成は可能との見方。ニューモデル投入のタイミングなどから2-5月の販売減速を予想しながらも、下期については加速を見込んでいる。また、為替相場の変動による影響を反映させる形で15-17年の利益見通しを下方修正し、目標株価を引き下げたものの、同社株価の先行きに関しては強気見通しを継続している。

ロシアの通貨ルーブルは15年6月以来、対米ドル、対人民元で大きく下落。年末には1米ドル=71.50ルーブル(14年末は同54.57)、1元=11.02ルーブル(同8.77)まで下げた。BOCIによれば、同社のルーブル建て資産の規模はこの1年ほとんど変わっておらず、ルーブルの下落分がそのまま推定2億元超の差損につながる見込み。16年もルーブル安が進めば、ロシア業務の未実現損失が続くことになる。

同社は14年10月、5年物の米ドル建てシニア債を発行し、約3億米ドルを調達した(表面利率5.25%)。ただ、人民元の対米ドル相場は15年に4.3%下落しており、これで約8500万米ドルの為替差損が発生したという。元安観測は依然強く、BOCIは16年末までに1米ドル=7.00元と、現在比で8%元安が進むと予想。シニア債絡みの差損が16年に1億6000万元に上るとみて、この要因を最新の利益見通しに反映させている。

ロシア業務に関する為替差損の継続は輸出業務を手掛ける同社の経営上の問題であり、経営陣は積極的にこの問題に取り組んでいる。ただ、BOCIは向こう2年にわたり、黒字化は困難とみている。

一方、16年3月には「NL-3」、年半ばには「Emgrand(帝豪 )Cross」、下期には「NL-4」を相次いで投入する計画。有力モデルの発売が4-6月期、下期の販売増に寄与する見通しだ。ただ、BOCIは前年同期の比較対照値の高さなどから、上期の販売伸び率の減速を予想(1月を除く)。特に主力車種EC7が苦戦する可能性を指摘している。

BOCIは今回、同社に不利な為替相場の変動見通しを織り込む形で、15-17年の利益予想をそれぞれ15%、5%、1%減額修正。16年予想PER10倍をあてはめ、目標株価を引き下げた。同社の現在株価がやや値ごろ感に欠けることや市場の利益見通しの下方修正が見込まれることなどから、BOCIは調整を待った上での同社株の買い増しを薦めている。