15年の販売台数は前年比24%増、売れ行き好調も利益率悪化が懸念材料

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02333 長城汽車 (グレートウォール・オートモービル)  8.30 HKD
(01/06現在)
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長城汽車の2015年12月の販売台数は前年同月比24.1%増、前月比6.3%増の9万5729台と、月別で過去最高を記録。これで15年通年の販売台数は前年比16.7%増の85万2693台に達した。16年の販売目標は前年実績比11.4%増の95万台で、BOCIによれば、これは市場の予想をやや上回る水準という。ただ、販売増が期待できる一方で、利益率の悪化が懸念材料。四半期ベースで販売台数が伸びていながら、ピークシーズンも値引き状況に改善が見られなかったためで、この点が15年10-12月期、16年上期の利益圧迫要因となる可能性が高い。BOCIは利幅悪化を反映させる形で、15-17年の利益見通しを3%、13%、12%下方修正。16年予想PER8倍をあてはめ、目標株価を引き下げた。ただ、同社株価の先行きに対しては、引き続き強気見通しを示している。

15年通期の販売統計を車両タイプ別に見ると、SUVが前年比34.6%増と引き続き好調。車種別では「H6」シリーズ(18.2%増)、「H2」(同241.4%増)、「H1」が牽引役となった。一方、ピックアップトラックとセダンはそれぞれ前年比15.9%減、41.6%減。出荷市場別では、国内が同21.6%伸びる半面、輸出は52.4%急減した。

10-12月期の販売台数は、前年同期比19.7%増、前期比で55.3%の急増を記録したが、BOCIは利益率の回復は期待できないとの見方だ。その理由は主に以下の3点。【1】需要期にもかかわらず、全モデルの値引き幅が6月後半との比較で改善しなかったこと。BOCIは国内業界全体で同じ傾向が見られたと指摘している。【2】ハイエンドモデル「H8」の宣伝強化でコストが膨らむ半面、実際の販促効果は経営陣の予想を下回った。【3】通期の賞与引当金の計上が10-12月期の管理費の急増につながる可能性がある――。また、前年同期の利益実績の高さやニューモデル投入までの販売減速見通しなどから、BOCIは続く16年1-3月期についても利益が伸び悩む可能性を指摘している。

一方、経営陣が設定した16年の販売目標95万台は、BOCIの予想範囲内である半面、市場予想を上回った。BOCIは16年の販売増要因として以下の点を見込んでいる。◇16年発売予定のニューモデル「H7」(7座席)の価格が15万-18万元の適正水準に設定されれば、月5000台程度の販売が期待できる、◇15年発売の「H6クーペ」(1.5t)の人気が見込める、◇「H2」「H6」の低価格・簡素化バージョンの投入が従来型「H2」「H6」の販売台数の維持、あるいは販売増に寄与する見込み。ただ、簡素化バージョンの投入時期は今のところ明らかになっていない。

「H7」は北京モーターショーのタイミングに合わせ、16年4月ごろに投入される予定。「H6クーペ」も上期の発売が見込まれ、10-12月期には小型SUV「コンセプトB」が続く見込み。また、「C30」をベースとする同社初の電気自動車(EV)セダンも年内に発売される予定となっている。