経営陣の入れ替え完了で業務正常化、バリュエーションの回復に期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
06030 中信証券股フン有限公司 (シティック・セキュリティーズ)  17.36 HKD
(12/10現在)
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中信証券の11月の純利益は前年同月比24%減、前月比では40%減となる8億700万元にとどまった(親会社単体に中信証券(山東)を加えた数字)。BOCIは主な業績悪化要因として、自己勘定収益の悪化と月次ベースの営業経費の増大を指摘。2016年、17年の本土A株市場の予想リターンをいずれも10%(修正前20%)、10%(同15%)に下方修正し、同社の16年、17年の予想EPSを9%、10%減額修正した。これに伴い、同社H株、A株の目標株価をそれぞれ22.62HKドル(16年予想PBR1.3倍)、21.33元(同1.5倍)に引き下げた。ただ、現在株価の低さが安全マージンにつながるとの見方。さらに経営陣交代に絡むリスクの低減や依然力強いファンダメンタルズを指摘し、この先のバリュエーション回復を見込んでいる。

本土A株市場における同社のブローカー(委託売買)業務のシェアは11月に5.73%と、前月を0.1ポイント小幅に下回った。BOCIは経営幹部の入れ替えが影響したとの見方だ。ただ、市場全体の売買代金の増加が追い風となり、同社の委託売買業務は出来高ベースで前月比46%増。信用取引貸付残高は前月比17%増の769億元で、国内業界のランキング1位に返り咲いた。

委託売買および信用取引業務が回復傾向を示したにもかかわらず、11月の純利益が低迷したことから、BOCIは自己売買収益の悪化が響いたとの見方。また、利益率が10月の48%から11月に34%に低下した点に言及し、営業経費がかさんだとみている。

同社は11月17日、新たな党委員会書記に常振明氏、次期会長に張祐君氏を指名すると発表した。BOCIは8月から続いた経営幹部の入れ替えが最終段階を迎えたと指摘。新たな経営陣が固まったことで、業務活動が正常化するとみている。

BOCIはレーティングの見直しにつながりかねない同社の潜在リスクとして、◇非正規ビジネス活動に対する規制リスク、◇本土株式市場の予想外の低迷――を挙げた。

同社H株、A株は現在、16年予想PBR(株価純資産倍率)1.0倍、1.2倍の水準で取引されている。BOCIは現行レベルからの一段の下値余地は限られるとの見方。経営人事の入れ替え完了に伴うリスク軽減やファンダメンタルズの堅調が、この先のバリュエーション回復を後押しするとみている。