サッカー製品市場参入がプラス、ブランド力強化に寄与

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02020 安踏体育用品有限公司 (アンタ・スポーツ・プロダクツ)  21.70 HKD
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安踏体育用品は2015年10月、江蘇省体育局、恒大サッカー学校、舒華公司(フィットネス機器プロバイダー)と組み、サッカー製品市場に参入すると発表した。BOCIは同社経営陣が目指す機能性製品ビジネスの強化において、今回の戦略が革新的かつ象徴的な意味合いを持つと指摘。力強いキャッシュポジションや中国政府のスポーツ振興策を背景としたサッカーブランドの構築を見込んでいる。また、イタリアブランドFILAの売上構成比が15%に上る点に触れ、同社のマルチブランド戦略を前向きに評価。今後もブランド買収を通じた製品多様化を継続するとみて、株価の先行きに対する強気見通しを据え置いている。

同社は16年にサッカーシューズ100万足を販売する計画だが、すでに16年上期向けの商談会受注で計画の45%を達成した。また、向こう3-5年以内には、シューズ部門におけるサッカー製品の売上構成比を10%まで引き上げる計画という。BOCIは向こう5年以内に、サッカーシューズの販売量が500万足に上ると予想。これにより、同社の売上全体に占める機能性製品の割合がさらに上向く見通しを示した。現時点で、シューズ部門に占める機能性製品の割合は7割だが、経営陣はこれを長期的に8割に引き上げる方針を明らかにしている。

BOCIによると、中国におけるサッカー市場の成長潜在力は膨大。中国サッカーリーグ(CSL)の観客数は15年シーズンに前年比17%増の1試合当たり2万1892人に上り、worldfootball.netによれば、観客数で世界6位となった。若年層を中心に、一般市民のサッカー愛好者数も長期的に増加する見込み。また、中国政府は国内のサッカーレベルの底上げに向け、15年2月に「サッカー改革」を発表。サッカー場の新設や小中学校でのサッカー授業の導入などを進める方針を示した。政策支援を受けたサッカー市場の成長潜在力から、同社だけでなく、特歩国際(01368)や361度(01361)などもサッカー製品市場に目を向けている。ただ、この分野では研究開発費や宣伝広告費がかさむ見込み。BOCIは広告費の増大に見合うだけの製品売り上げの上積みを予想しながらも、広告費の対売上比率(同社目標値は12-14%)の低下には期待しにくいとしている。

一方、買収した伊FILA(買収対象は中国事業)はハイエンド顧客市場の開拓に向けた武器となり、既存店売り上げは倍増ペース。店舗数は現在およそ550-600で、経営陣は17年までに800店に増やす目標を掲げている。BOCIは現在10%台前半の営業利益率がこの先上向くと予想。FILAの成功を受け、同社が今後もブランド多様化戦略を継続するとみている。このほか、子供向け製品部門(売上構成比7-8%)が前年比30%超の伸びを示すなど好調。ネット通販の売上構成比は5%だが、長期的にはこの割合が20%まで上向く見通しという。