15年7-9月期に81%減益、天然ガス値下げ観測などで先行き不透明感

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00857 中国石油天然気 (ペトロチャイナ)  6.19 HKD
(10/30現在)
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ペトロチャイナの2015年7-9月期決算は純利益が前年同期比81%減の52億元だった(前期比では73%減益)。同期の実際利益はBOCIの予想を38%下回る水準。石油精製および石油販売部門の予想外の営業赤字や関連会社利益の下押しが響いた。1-9月期の純利益は同68%減の306億元で、通期予想の消化率は73%。BOCIは決算発表後、税率の上昇や関連会社利益の低迷を反映させる形で、15-17年の予想純利益を5-9%減額修正し、目標株価を引き下げた。また、国内の天然ガス値下げ観測や、石油業界改革絡みで長距離パイプラインの売却を迫られる可能性などを懸念材料として指摘。同社株価の先行きに対して中立見通しを継続している。

7-9月期には主要事業部門の業績が悪化した。ただ、探査/生産部門の営業利益は前期比13%減と、BOCIの予想を92%上回る水準。原油実勢販売価格が前期比9%安の1バレル=49.33米ドルに落ち込む中、相対的に小幅の減益に踏みとどまった。一方、精製部門、販売部門の7-9月期業績はいずれも予想を大きく下振れるネガティブサプライズ。うち販売は38億元の営業赤字に転落(前期は54億元の黒字)。精製も39億元の営業赤字を計上した(前期は93億元の営業黒字)。BOCIは精製部門の赤字について、精製業務の採算悪化に加え、高コスト在庫を低価格で処分したことが響いたとの見方。これにより80億元の損失が発生したとみている。

その他事業を見ると、化学部門は好調。7-9月期に23億元の部門営業利益を計上し、前期比で約5倍の大幅増益となった。製品ミックスの高付加価値化と利益率の改善が好決算に寄与した。また、天然ガス/ガスパイプライン部門の営業利益は前期比40%増となる105億元。パイプライン経由の天然ガス輸入およびLNG(液化天然ガス)輸入業務の損失が11億元(前期比68%縮小)にとどまり部門営業利益を押し上げた。

続く10-12月期の利益について、BOCIは前期比46%増の76億元を見込んでいる。原油の実績販売価格は低下するとみられるものの、在庫処分損の消失が前期比の業績回復に寄与する見込み。8月後半からの原油相場の反発を受け、国家発展改革委員会は石油製品価格を2度値上げしており(計4%)、精製部門の利益率改善も期待できるという。

一方、メディア報道によれば、政府当局は近く、1立方メートル当たり0.4-1.0元の幅で、天然ガス価格の引き下げを実施する見込み。ペトロチャイナは中国最大の天然ガス生産・供給会社であり、国内生産量の65%、供給量の69%を握る圧倒的大手(14年)。必然的に、天然ガス価格の値下げ局面においては最大の犠牲者となる。BOCIは政府補助金の増額が見込めないとの前提の下、天然ガスの同0.4元の値下げが16年利益見通しの86%の減額修正につながる可能性を指摘している。