15年1-9月期決算は予想下振れ、収益成長見通しに変化なし

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02628 中国人寿保険 (チャイナ・ライフ・インシュランス)  30.35 HKD
(10/29現在)
 株価
 企業情報
 チャート

中国人寿保険の2015年1-9月期決算は、純利益が前年同期比22.8%増の338億4000万元にとどまり、BOCIの予想、市場コンセンサス予想をともに下回った。7-9月期の資産運用収益の落ち込みと、保険料計算の基礎率の一部変更が予想下振れの原因。7-9月期に限ると、同74.3%の減益だった。ただ、主力の生保部門の収入保険料は1-9月に前年同期比14.4%増の3104億6000万元と、引き続き堅調。BOCIは高利幅の長期商品に照準を合わせる戦略の下、エージェンシー(外務員)経由の初年度保険料が前年同期比約50%増加したと推定している。15年通期の利益見通しを11%減額修正しながらも、目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

本土A株市場が6月の高値水準から28.6%下落する中、7-9月期の運用収益は前年同期比54.9%減の132億6000万元と低迷した。前期比では78.2%減。また、1-9月の正味運用収益率は年率換算で4.41%、総収益率は同6.88%だった(15年上期はそれぞれ4.37%、9.06%)。

運用収益の急減に関して、BOCIはより慎重な会計処理方針が影響した可能性を指摘している。実際、同社の株式およびファンドの投資ウエートは6月末時点でわずか11.9%と、同業銘柄とほぼ同水準(うち株式は5.7%)。また、債券市場の7-9月期のラリーにもかかわらず、同社は債券ポートフォリオの38.4%を売却可能(AFS)扱いで算入した(同期のAFS投資評価損は340億5000万元)。BOCI評価損のうち少なくとも94億2000万元が未実現損失、あるいは減損損失であることに言及している。

7-9月期には解約状況が改善し、総収入保険料に占める解約の割合は20.5%へ16ポイント低下。保険金請求率も57.1%へ大きく低下した。また、同期にはEV(エンベディッドバリュー:生保会社の企業価値を示す指標)の前提を変更し、生保向けの責任準備金を45億4000万元の幅で積み増した。さらに長期の健康保険契約の責任準備金に関しても11億元増額。これにより、税引き前利益が56億6000万元減少する結果となった。

7-9月期の手数料(コミッション)支出は21.5%増の78億7000万元。総収入保険料比の手数料の割合は10.4%に上昇し、同社が高利幅の長期商品へのシフトを継続していることが改めて確認された。また、資産の帳簿価額は6月比で2.4%縮小した。

一方、同社取締役会はすでに、最大30億米ドル規模のシニア債発行計画を承認した。調達資金は海外投資に充当する方針。BOCIは長期視点から、この動きがポートフォリオの段階的な多様化につながるとみて前向きに評価している。なお、同社はすでに、12億8000万米ドルのコアティア2永久債の起債を15年7月に完了した。