15年中間期に16%増益、オンライン通販事業に成長潜在力

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02607 上海医薬集団股フン有限公司 (シャンハイ・ファーマスーティカルズ)  15.52 HKD
(08/27現在)
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上海医薬集団の2015年6月中間決算は市場の予想通りの内容となった。売上高は前年同期比15.8%増の509億5000万元で、粗利益率、純利益率も堅調。純利益は16.4%増の1億5340万元だった。BOCIは正味の営業キャッシュフローが約4億8000万元に達した点をプラスに評価し、下期についてもこの点を楽観視している。同社は現在、O2O(オフラインとオンラインの連携)ビジネスの構築を推進中。BOCIは同社の強みとして、DTP(医薬品店向け直販)業務の競争力と傘下の数千店規模の直営店網を挙げ、この先さらにオンラインプラットフォームの構築が進むと予想。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

15年6月中間期には、製薬部門が前年同期比7.0%増収(粗利益率は前年同期比1.3ポイント高の49.2%)。医薬品卸売部門は同17.3%の増収を達成し(取引先医療機関は1万9037カ所、自律成長率は16%増)、部門売り上げの62%を直接販売が占めた。B2C(オンライン消費者向け販売)事業を手掛ける3社と医療機器の売上高は、前年実績の低さもあって72%増。同社全体の増益率は16.4%で、営業利益は21.5%の伸びだった。

正味営業キャッシュフローは上期に4億8000万元で(第2四半期に6億4000万元)、うち製薬部門が4億2000万元。医薬品卸売部門では1億2000万元と、第1四半期のマイナスからプラスに転じた。金融デリバティブ投資の割合を抑える半面、現金収入が堅調。また、純負債比率は上期に低下し、有利子負債は総負債の7分の1程度にとどまった。BOCIは下期も財務の健全性を維持すると予想。12年のIPO(香港)の調達資金には限りがあるものの、この先の資金調達手段は多数存在するとみている。

同社はO2O事業の新たなプラットフォームとしてShanghai Pharmaceutical Healthcare Yunshangを設立した。BOCIによると、同社はオフライン販売を支える数千店規模の店舗網を保有する上に、新たなプラットフォームの主要株主となる上海医薬衆協薬業(Shanghai Pharmaceutical Zhongxie)は中国東部のDTP最大手。物流能力の面からも、従来型の医薬品販売会社を上回る可能性を指摘した。また、OTC医薬品(処方を必要としない一般医薬品)のB2C販売、医薬品B2B販売の事業免許も強み。BOCIは同社の閉鎖型O2Oシステムに触れ、この分野のパイオニアになるとみている。また、政府当局がこの先、処方薬のネット通販をめぐって有利な施策を打ち出した場合、O2Oビジネスが爆発的成長を遂げるとみて、同社のO2O戦略を高く評価した。経営陣によれば、O2Oビジネスは向こう3年以内に採算に乗る見通しという。

同社の現在株価は16年予想PER(コアPER)で約10倍。BOCIは目標株価を16年予想PER20倍の水準に維持。今後のM&Aやオンラインビジネスの成長が支援材料となる見通しを示し、株価の先行きに対する強気の見方を据え置いている。