15年の大幅減益見通しも下値余地は限定的か、当局の天然ガス値下げに期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00135 昆侖能源有限公司(クンルン・エナジー)   6.81 HKD
(07/28現在)
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昆侖能源の株価が過去12カ月間に約5割下落したことを受け、BOCIは原油安やLNG事業の採算性の低迷という悪材料はほぼ織り込まれたとみている。この先、15年下期に見込まれる天然ガス価格の引き下げは、同社にとってプラス。15年予想PBR(株価純資産倍率)1倍に当たる同社株価の一段の下値余地は限られるとみて、株価の先行きに対する従来の弱気見通しを中立的に引き上げている。

原油安とLNGターミナルの処理量の落ち込みが響き、15年6月中間決算は大幅減益となる見込み。上期にはICEブレント原油価格の平均値(1バレル=58.9米ドル)が前年同期比46%下落。LNGターミナル2カ所の処理量は同35%減少した。14年通期に純利益全体の計35%を占めた2部門の業績悪化が全体の足を引っ張る見通し。BOCIはうち採掘・生産(E&P)部門について、赤字転落の可能性を指摘している。

15年通期に関しても大幅減益見通しがコンセンサスとなっている。原油相場の14年下期の急落や同年9月の国内天然ガス価格の引き上げ、大口取引先ペトロチャイナ(00857)による15年のLNG(液化天然ガス)輸入削減方針の決定などが背景。E&P、LNG加工、LNGターミナルなど各部門の採算悪化が見込まれている。ただ、同社株価が過去12カ月間に48%下落したことで、BOCIはマイナス材料がほぼ反映されたとみている。

また、BOCIは今回、LNG加工プラント6カ所の商業運転の延期を理由に、15年通期の利益見通しを25%増額修正した。この6カ所の日産能力は計864万立方メートルと、既存能力の126%に相当する規模。稼働延期を受け、15年通期の初期赤字分が縮小する見通しとなった。続く16年に関しては天然ガスパイプライン部門の非経常収益の調整を受け、利益見通しを10%減額修正している。

一方、比較的クリーンな代替燃料とされるLNGと軽油の価格競争力の差は、原油相場の急落を受けて大幅に縮小。www.China5e.comによれば、LNG貨物車の販売台数は15年上期に約半減したが、LNGバスは地方政府の普及支援の下、同31%の伸びを示した。BOCIによると、中国当局が15年下期に天然ガス値下げに踏み切った場合、同社のLNG加工プラントにとっては稼働率改善、コスト減の両面から恩恵が及ぶ見通し。

同社はまた、自社のLNGターミナル2カ所で第三者LNGカーゴ取扱事業を開始した。今のところ規模は小さいものの、ペトロチャイナのLNG輸入削減を受けたマイナス影響を一部カバーする見込み。BOCIはこの点を利益モデルに組み込んでいる。

BOCIは目標株価を15年予想PBR1倍に維持した上で、目標株価を小幅に上方修正し、株価の先行きに対して中立見通しを示した。この先のレーティング見直しにつながりかねない潜在要因としては、◇原油相場のさらなる急落、◇陝西省-北京間パイプラインにおける輸送料金の一段の引き下げ――を挙げている。