不動産開発・投資分野の有力銘柄、O2Oブームが追い風に

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03699 大連万達商業地産股フン有限公司 (ダーリエン・ワンダ・コマーシャル・プロパティーズ)  63.15 HKD
(06/25現在)
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BOCIは大連万達商業地産について、卓越した執行力で有力不動産企業としての地位を築いたと高く評価している。力強くかつ先行き見通しが明確な賃料収入の伸びや、資産保有にこだわらない独自の成長戦略、さらにO2O(Online to Offline:オンライン行動がオフラインの購買行動を促す施策)ブームに伴うビジネス機会の拡大に言及し、同社が最大手クラスのバリュエーションに値するとの見方を示した。目標株価を引き上げるとともに、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

2015年1-5月の物件成約額は前年同期比12.7%増と、香港上場の大手・中堅デベロッパーの多くを上回る伸びを示した。BOCIは15年通年の成約目標(1680億元)を達成するか、あるいは超えると予想。強みとして、プロジェクトが一等地に位置するなど事業ロケーション面で優位にあることや、複合開発事業とのシナジー効果を挙げた。

同社は開発部門の自律成長に加えて賃料収入が伸びており、多くの同業銘柄に比べ、成長見通しがより明確。既存の開発用地をベースとしたBOCIの試算では、賃料収入は14-17年に年平均31.7%増加する見込み。ショッピングモールの数は14年の108カ所から、17年には175カ所に増える見通しという。

1-5月の賃料収入は前年同期比34%の伸びを示した。圧倒的なスケールメリットを武器とした中小都市部での優位が背景。ショッピングモールの設計・建設・賃貸業務における同社の強さを示す形となった。親会社の強いリーダーシップや体験型消費ビジネス分野における手腕も、ショッピングモール部門の高い競争力を支える要因となっている。

長期成長を維持するための同社戦略は、同業他社に比べて成熟度が高い。資産保有を重視せずに権益保有率を少数にとどめ(全く保有しないこともある)、運営を監督する形で、「万達プラザ」ブランドの使用権をプロジェクトオーナーに付与。賃料収入やマネジメント料、ブランド使用料を受け取る。こうした戦略は、主に中小都市部で不動産供給過剰リスクを回避しつつ、現地の消費アップグレード需要を享受できる点で有利となる。さらに、不動産最大手の万科企業(02202)との提携も同戦略を進める上でプラス。主に小規模都市では、同社が商業施設の開発・運営を担う一方、万科企業が住宅物件の建設を担当する。また、BOCIによると、同社は現時点で中国最大のオフライン消費プラットフォームであり、この先予想されるO2Oブームの波に乗る見通しという。

BOCIはバリュエーション面から、中国海外発展(00688)や万科企業などの最大手デベロッパーに匹敵すると指摘。目標株価の算出基準となる対NAV(1株当たり純資産価値)ディスカウント率を見直し(予想NAVに対する不動産投資、開発、ホテル部門のディスカウント率を10%、20%、15%に縮小)、目標株価を引き上げた。現在株価が予想NAV比で39%のディスカウント水準にあることに言及している。