石油製品の品質基準強化が追い風、価格上昇効果で利益見通し上向く

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00386 中国石油化工(シノペック)  7.06 HKD
(05/11現在)
 株価
 企業情報
 チャート

中国の国家発展改革委員会(NDRC)はこのほど、ガソリン、軽油など、石油製品の品質基準を強化する方針を発表したが、これは石油精製最大手であるシノペックに最大の恩恵をもたらす見通しだ。BOCIは新たな品質基準を踏まえ、同社の2016年、17年の利益見通しをそれぞれ19%、28%増額修正。新たな予想値に基づく現在株価の値ごろ感を指摘し、同社H株の先行きに対して強気見通しを継続した。同社A株に関しても、従来の中立見通しを強気に引き上げている。

シノペックは中国の石油精製最大手で、ガソリン、軽油生産量の国内シェアは2014年にそれぞれ46%、42%に達した。このため、品質基準の強化に伴い適用される高品質製品への割増価格がガソリン、軽油の販売価格上昇に直結する見込み。同社にとっては真正面からの追い風となる。

ガソリン、軽油の品質向上に向け、同社は着実に準備を進めている。現在のところ、「国5」基準を満たすのは、ガソリン生産能力の75%、軽油生産能力の42%だが、一部プラントの技術アップグレードの完了に伴い、15年末までにはそれぞれほぼ100%を達成する見込み。期限までに同基準を満たせない同業他社(主に中小精製事業者)は石油製品市場からの撤退を余儀なくされる運びとなる。

BOCIによると、利益見通しを考慮した場合、同社の現在株価のバリュエーションは同業銘柄に比べ、相対的に魅力的な水準にある。一方、この先のレーティング見直しにつながりかねない潜在リスクとしては、◇需要委縮を受け、ガソリン、軽油価格の引き上げが難しくなること、◇原油相場の急落――などが挙げられるという。

BOCIは15年予想PBR(株価純資産倍率)1.3倍をあてはめる形でH株の目標株価を据え置く一方、3カ月平均のAH価格差(A株とH株の株価のかい離)に基づいてA株目標株価を引き上げた。4月後半の前回リポート以来、同社のAH価格差が25%から27%に拡大したことを指摘している。