15年1-3月期にほぼ予想通りの1.9%増益、高ROEや低リスクを評価

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00939 中国建設銀行(チュウゴクケンセツギンコウ)  7.69 HKD
(04/30現在)
 株価
 企業情報
 チャート

中国建設銀行の2015年1-3月期の純利益は前年同期比1.9%増の670億元と、BOCIの予想を0.6%下回った。引当金計上額が予想を上回る半面、資金利益が予想水準に届かなかったことが業績下振れ要因となった。ただ、同行の1-3月期の増益率は4大国有商業銀行の中で最大。BOCIはROE(株主資本利益率)の相対的な高さや金融緩和のプラス影響を理由に目標株価を引き上げ、同行H株に対する強気見通しを継続している。

純金利マージンは1-3月期に単純平均換算で2.64%と、前四半期の2.76%からやや後退した。他大手行に比べ、利ざやの下げ幅が小幅にとどまったのは資金コストの低さによるもの。預金残高の前年同期比6.3%の伸びが資金コストの軽減に寄与した。BOCIは同行の要求払預金(普通預金、当座預金など)のウエートの高さに言及し、利下げに対する抵抗力の強さを指摘。向こう数四半期にわたり、資金コスト面での競争力を維持するとみている。

1-3月期の不良債権残高は前年同期比12.5%増。同行は相対的に不動産ローンやインフラ融資のウエートが大きい半面、製造業向け融資の割合が小さいのが特徴。中国では現在、製造業と小売・卸売業の不良債権比率が最も高く、同行の融資構成は比較的低リスク。BOCIによると、4大国有商業銀行の中で、同行の資産悪化リスクは相対的に小さいという。

また、自己資本も高水準にあり、1-3月期末のコアTier1比率は12.51%。BOCIは資産の安定増やROEの相対的な高さを理由に、この先も資本基盤の強さを維持するとみている。

手数料収入は前年同期比5.6%増。資産運用や仲介などの収入増が寄与し、相対的に高い伸びを確保した。BOCIは資本市場関連業務の発展見通しを理由に、この先、手数料収入の伸びが回復する可能性を指摘している。

同行H株、A株の現在株価は15年予想PBR(株価純資産倍率)でそれぞれ1.09倍、1.24倍の水準にある。BOCIはレーティングに影響する可能性がある潜在リスクとして、中国経済の失速や国内不動産相場の低迷を指摘しながらも、バリュエーションの一段の回復を予想。H株、A株の目標株価を引き上げ、H株株価の先行きに関する強気見通しを据え置いている。