15年1-3月期決算は予想下振れ、VIPだけでなく一般客カジノも苦戦

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01928 金沙中国有限公司(サンズ・チャイナ)  31.80 HKD
(04/24現在)
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サンズ・チャイナの2015年1-3月期決算は市場コンセンサス予想を下回る内容となった。VIPカジノ部門の大幅な業績悪化に加えて一般客部門も苦戦し、同期の減収率は予想を超える前年比35%に達した。BOCIはこの先も、マカオ渡航規制の強化やカジノホールの全面禁煙措置などが同社業績にマイナス影響を及ぼす可能性を指摘。売上高および利益見通しを減額修正し、株価の先行きに対する従来の強気見通しを中立的に引き下げている。

1-3月期決算は落胆すべき内容となり、売上高、調整後EBITDAがそれぞれ前年比35%、43%減少し、市場コンセンサス予想をそれぞれ13%、7%下押しした。調整後EBITDAマージンは33%と、前年同期の34.5%、前四半期の33.6%から一段と低下している。また、4つのカジノ施設を抱える同社はカジノ需要の委縮だけでなく、コスト増に直面。主に人件費や広告宣伝費の増大による営業コスト増も利益圧迫要因となった。

傘下の4施設ではいずれもVIPカジノ部門が大きく低迷し、VIPローリングチップ収入はそれぞれ前年比40-60%急減した。一般客カジノ部門の賭け金も『ベネチアン・マカオ』で同23%減、『サンズ・コタイセントラル』で同9%減。一般客部門に強みを持つはずの同社の苦戦は、明らかにネガティブサプライズとなった。BOCIは一般客ホールの禁煙措置が響いたとの見方だ。また、同社はマカオの1日当たり訪問客数の取り込みでカジノ運営事業者のトップの座にあり、BOCIは個人旅行者の渡航規制の強化が同業他社以上に大きな打撃となる可能性を指摘している。

マカオカジノ業界が現在直面している逆風や新規施設『パリジャン・マカオ』の開業時期が16年後半にずれ込む見通しなどから、BOCIは15年のVIPカジノ、一般客カジノ部門の売上高がそれぞれ前年比50%、23%減少すると予想。これにより、同社全体の純収入、調整後EBITDA、純利益がそれぞれ同19%、22%、24%落ち込むとみている。

BOCIは長期視点から、中国の新たな“富の創造”による同社への恩恵を見込んでいるものの、当面は厳しい事業環境が続くとの見方。現在株価がEV/EBITD倍率で13.4倍、15年予想PERで16.9倍の水準にあることに言及した上で、割引キャッシュフロー(DCF)モデルに基づいて目標株価を引き下げ、株価の先行きに対して中立見通しを示した。また、レーティング見直しにつながりかねない同社の潜在リスクとして、個人旅行に関する中国側の規制強化、全面禁煙措置の導入、さらに同業他社の新規施設開業を受けた競争激化を挙げている。