本土資金の流入で株価急伸、「AH価格差」要因で中立見通し

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01898 中国中煤能源(チュウゴクチュウバイノウゲン)  5.00 HKD
(04/08現在)
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中国中煤能源のH株株価は8日、前日比13%急伸した。中国当局が国内の公募ファンド(オープン型投資信託)を対象に、上海・香港の株式相互取引制度「滬港通(上海-香港ストック・コネクト)」を通じた香港株投資を認めたことなどを受け、本土投資家が香港株買いに動いたことが背景。「滬港通」は昨年11月にスタートしたが、本土からの香港株売買はこの日初めて、1日当たり上限いっぱいに達した。BOCIは同社のH株株価がA株を45%下回る水準にあり、15年予想PBRで0.6倍にとどまる点を指摘。現在株価からの下値余地は限られるとして、同社H株に対する従来の弱気見通しを中立にアップグレードした。

3月末時点の同社株価を見ると、A株に対するH株のディスカウント率は53%。AH価格差が2009年年初以来、最大の水準に達していた。ただ、中国証券監督管理委員会(CSRC)が3月27日、国内の公募ファンドに対し、QDII(適格国内機関投資家)資格を持たないまま、「滬港通」を通じて香港株に投資することを認めたことで、同社のAH価格差は少しずつ縮小。その後、8日にはH株が13%急伸したが、それでも8日終値ベースのAH価格差(H株のディスカウント率)は45%と、依然大きい。

国内最大の石炭積み出し港・秦皇島の動力炭(5500キロカロリー種)スポット相場は1トン当たり435元まで値下がりし、年初からの下落幅は同90元(17%)に達した。BOCIは石炭輸送の大動脈である大秦鉄道で4月6日に始まった大型補修点検が月末まで続く見通しに言及し、これが当面の石炭相場を下支えするとの見方。ただ、その一方で同社の収益性の低さや15年第1四半期の赤字の可能性に触れ、ファンダメンタルズ面での買いは推奨しにくいと指摘している。

BOCIは今回、AH価格差に目を向けた上で、H株の目標バリュエーションを15年予想PBR0.4倍から0.6倍に引き上げ、目標株価を上方修正した(0.6倍は13年半ば以来の株価レンジのハイエンド値)。一方、A株に関しては15年予想PBR0.9倍をあてはめ、目標株価を据え置いた。今後のレーティング見直しにつながりかねない同社の潜在リスクとして、A株株価の下落によるAH価格差の縮小や動力炭価格の一段安の可能性を指摘している。