市況低迷下で14年通期に好決算達成、親会社からの資産取得計画を発表

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00688 中国海外発展(チャイナ・オーバーシーズ・ランド・アンド・インベストメント)  23.55 HKD
(03/25現在)
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中国海外発展の2014年通期決算はあらゆる点で優れた内容となり、売上高は前年比45.5%増。粗利益率は前年を0.2ポイント上回る32.7%に達した。土地増値税(LAT)の増大が響き、純利益は前年比20.1%の伸びだったが、コア純利益は同25.6%増の238億HKドルと、市場コンセンサス予想から5.8%上振れた(BOCIの予想通り)。また、同社は市場が待望していた親会社からの資産取得計画を発表した。親会社に対する新株割り当て(1株当たり25.38HKドル)で代金を支払う。BOCIは取得プロジェクトの詳細が明らかになっていないとの理由から、現時点では利益モデルにこの要因を組み込まず、目標株価を維持。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

14年には中国不動産市場の委縮が鮮明だったが、同社は逆風下で安定的かつ円滑に事業を進める能力を改めて証明した形。高い増収率を確保するとともに、粗利益率や純負債比率を維持した。

また、国内不動産市場のトレンドや周期を予測する点で、同社は際立った精度を示している。経営陣は14年年初時点で、前年実績比ほぼ横ばいに当たる控えめな販売目標を設定したが、実際、住宅市況はその後明らかに悪化した。続く15年の販売目標は前年実績比約20%増の1680億HKドル。国内市場全体の回復を見越し、販売率が65-67%へ1-3.6ポイント上向くと予想している。この数字はBOCIの予想とほぼ同水準に当たるという。BOCIは同社の15年の分譲可能物件が2500億-2600億HKドル規模(14年は2200億HKドル)に上るとみて、販売目標は十分達成可能とみている。

一方、同社は親会社からプロジェクト30件を取得する計画を発表した。延べ床面積換算では1090万平米に上り、取得代金は総額428億610万HKドル。当該プロジェクトにかかった当初の総コストは393億8060万HKドルだった。その用地の多くは地価が今よりずっと低かった約5年前に取得したものであり、BOCIは当初コストからの上乗せは妥当としている。代金は新株割り当てで支払う計画。割当価格は1株当たり25.38HKドルと、直近10営業日の平均終値に対して約15%のプレミアム水準となる。

今のところ、取得対象プロジェクトに関する情報は限られ、取引の実現には株主総会での承認が必要。このため、BOCIは今回、利益モデルへの組み込みを見送った。ただ、現在株価が14年予想NAV(純資産価値:1株当たり34.18HKドル)に対して31%のディスカウント水準にあると指摘。業界最大手クラスとしての地位や安定的なファンダメンタルズを前向きに評価し、株価バリュエーションがこの先正常化すると予測した。また、15年の国内不動産市況について緩やかな回復を見込み、この点も支援材料となる見通しを示している。