ルーブル安や販売減で14年に46%減益、ニューモデル好調で15年に巻き返しへ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00175 吉利汽車(ジーリー・オートモービル)  3.60 HKD
(03/19現在)
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吉利汽車の2014年12月本決算は、売上高が前年比24.3%減少し(販売台数は同24.0%減)、純利益が同46.3%減の14億3000万元にとどまった。ロシアの通貨ルーブルの急落を受けた下期の為替差損の発生が大幅減益の一因。為替差損6億5400万元を除外した場合、14年の減益率は前年比21.7%で、売上高や販売台数の減少率とほぼ同水準だった。BOCIは過去2年にわたって進めてきた研究開発(R&D)、販売、製造システムなどの事業再編、効率化がほぼ終わったとみて、今後の競争力向上を予想。ファンダメンタルズが14年に底を打ったとし、向こう3年にわたる成長期待を示した。利益見通しの上方修正に伴って目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続している。

14年の販売台数は前年比24.0%減の41万7851台で、内訳は輸出が同49.9%減の5万9611台、国内が同16.8%減の35万8240台。ただ、下期のニューモデル投入効果で、第4四半期には販売台数の減少幅が段階的に縮小した。一方、平均出荷価格は前年比2%高。製品ミックスの優良化が国内ディーラー向け値引きによるマイナス影響を相殺した。

粗利益率は前年を1.9ポイント下回る18.2%。販売台数の減少によるスケールメリットの後退が響いた。また、ニューモデル発売当初の利益率の低さも一因。ただ、BOCIはこの先の販売台数の増加で14年下期に発売したニューモデルの利益率が上向くと予想。

売上高販売費率は前年の5.9%から5.8%へやや低下したが、売上高管理費率は為替差損の計上が響き、6.1%から8.4%に上昇した。また、正味財務費用は前年の4000万元から2400万元に縮小したものの、同社は14年10月に米ドル建てシニア債を起債しており、BOCIは今後の財務費用の増大を見込んでいる。一方、14年の期末配当は1株当たり0.025HKドルの予定。14年通期の配当性向は12.2%となる。

15年は前年の苦戦から一転して販売台数が大きく伸びており、1-2月には前年同期比67.4%増の9万2022台に達した。前年実績の低さに加え、「新帝豪」(Xindihao)、「新遠景」(New Vision)というニューモデルの好調が販売急増を支えた要因。ニューモデルに対する市場の反応が予想を上回ったことから、BOCIは同社の15年の予想販売台数を、経営陣が設定した目標台数の45万台を上回る46万台から47万5000台へ上方修正した。同社は15年以降、新たなR&Dシステムに基づいて開発した複数のニューモデルを順次発売する計画。まずは3月半ばに投入した新型GC9(Bクラスセダン)が予想以上の好反応を得た。下期にはEC7をベースとした同社初の電気自動車を発売する予定。さらに新型SUVモデル2種を年末までに発表する運びとなっている。

BOCIは同社の潜在リスクとして輸出関連の為替リスクや政府補助金の急減などを挙げながらも、販売台数見通しの上方修正を反映させる形で、15-16年の予想純利益を2-3%増額修正。株価の先行きに対する強気見通しを継続している。