4G FDDサービス開始で成長回復へ、「4G開放戦略」に高評価

2014年第4四半期の売り上げ低迷にもかかわらず、BOCIはチャイナ・ユニコムの2015年通期、16年通期の利益見通しをそれぞれ9%、3%増額修正した。4Gネットワークを既存の2G、3G顧客に対して開放するという同社の戦略を高く評価。端末補助金や販売コミッションといったマーケティング費用を過度に増大させることなく、収入増を達成する見通しを示した。通信大手3社の中では、チャイナ・テレコム(00728)の次にチャイナ・ユニコムが有望との見方。目標株価と先行きに対する強気見通しを継続した。

チャイナ・ユニコムの2014年本決算は、純利益が前年比15.8%増の120億6000万元。市場コンセンサス予想を下振れたものの、BOCIの予想を4%上回った。第4四半期にはiPhone6 の投入を受け、端末販売が前期比で急回復したとみられるが、パッケージ販売方式の見直しで、モバイルサービス収入が減少。第4四半期の同収入はiPhone6投入効果にもかかわらず、BOCI予想を5%下回る360億元だった。2Gおよび3GのARPU(加入者1人当たり月額収入)は第4四半期に前年同期比16%減。BOCIの試算では、全体で同14.7%減の40.30元にとどまったという。また、14年通期のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は同10.5%増の927億7000万元だった。

中国では15年に、国際4G規格FDD-LTEの運用が本格的に始まる見通しだが、同社は4Gネットワークを既存加入者に開放する方針であり、2G、3G顧客は4G対応端末を購入しさえすれば、4Gにアップグレードすることが可能。この戦略により、同社は低価格スマートフォンの多様化による恩恵を真正面から享受できるという。中国のスマホ販売台数は14年に4億台強で、うち90%余りが4G FDD対応。経営陣は既存加入者のうち最大1億人が15年末までに4G対応機種を取得し、同社の4Gネットワークの利用を開始するとみている。これに伴い、顧客1人当たりのデータ収入が増加する見込み。同社の3G加入者のデータ使用量は14年に月間平均220MBだったが、4Gでは同1GB以上に上る見通しという。

通信大手3社によるインフラ施設の共有計画を受け、設備投資効率は改善する見込み。同社は14年末までに4G基地局56万5000カ所を設置したが、15年中にはさらに3Gおよび4G基地局35万9000カ所を増設する計画であり、これで計92万4000カ所となる。15年の設備投資計画は1000億元で、ワイヤレスブロードバンドネットワーク向けがうち44.5%、固定ブロードバンドネットワーク向けが22.5%となる。 第4四半期のEBITDAは予想を1%下回ったが、EBITDAマージン(EBITDAをサービス収入で割った値)はBOCI予想を上回る35.8%。BOCIは同マージンの回復が15年も続くと予想。新たなマーケティング戦略の下、販売費やマーケティング費は適正範囲に収まるとみている。