1-2月に売上回復も先行き不透明感、旅行者消費の低迷で事業拡張計画見直しも

ササ・インターナショナルの2015年1-2月の小売売上高はBOCIの予想通りの水準だった。既存店売上高の伸び率(SSSG)は14年第4四半期の落ち込みから回復したが、これは旧正月の時期的なずれや、経営不振の旗艦店(香港コーズウェーベイ)の閉鎖を受けた周辺店舗の売り上げ増が背景にあるという。BOCIは本土から香港を訪れる旅行者が減少に転じる兆しがみられたとして、先行きに慎重見通しを示し、ササの店舗拡大計画が後退を余儀なくされると予想。さらに本土からの旅行者が従来比で節約傾向に転じるとみて、同社の減益局面が続く見通しを示した。また、香港小売市場そのものの苦戦を見込み、同社に対する評価が後退すると予想。16年度予想PER12.0倍をあてはめる形で目標株価を引き下げ、株価の先行きに対する慎重見通しを継続している。

香港およびマカオのSSSGは旧正月休暇中(2月19-25日)に前年旧正月比で7%減少した。長期休暇効果の後退が一因。一方、1-2月のSSSGは前年同期比7%増と、14年10-12月期の同3%減少から回復傾向をみせた。旧正月期のずれと旗艦店の閉鎖が背景。また、香港およびマカオにおける1-2月の小売売上高は前年同期比3%増と、14年10-12月期の同1%減から上向き、BOCIの予想通りの水準に達した。本土旅行者向けの売上高が6%の伸びを示す半面、香港・マカオの地元消費者向けは3%減。実際に商品を買った本土旅行者の数は23%増加したものの、客単価は14%縮小した。

旧正月期間中の本土からの旅行者の購買回数は前年同期比5%の伸びを示したものの、BOCIは本土からの渡航者数がこの旧正月にすでに落ち込みを示した点に触れ、先行きに対して慎重見通しを示した。香港の新界地区(屯門や沙田、元朗など)のショッピングモールでは、本土からの買い物客の“大量買い”に対する地元住民の抗議が相次いでいる点にも言及している。新界のモールは主に本土からの日帰り客をターゲットとしており、14年には本土旅行者全体に対する売り上げの6割を日帰り客が占めたが、BOCIは抗議活動によるマイナス影響を指摘。新界地区においても、同社が事業拡張計画の見直しを迫られるとみている。

BOCIは15年度(16年3月期)の予想純利益を据え置く一方、16年度、17年度の予想値をそれぞれ4%、8%減額修正した。香港・マカオのSSSGや店舗数、さらに営業利益率に関する想定値の下方修正が理由。15-17年度のSSSGについてはそれぞれ前年比4%増、1%増、1%増を見込み、同5%、1%、2%の増収を予想。純利益は同7%減、1%減、横ばいで推移するとみている。また、約5%の配当利回りが同社株価を支える可能性を指摘しながらも、目標株価を下方修正。香港小売市場の下降を構造問題と認識し、同社に対する評価の後退を見込んでいる。