14年本決算で2桁減益、15-16年も競争激化で減益継続か

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00880 澳門博彩控股有限公司(エスジェイエム・ホールディングス)  11.12 HKD
(02/26現在)
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エスジェイエム・ホールディングスの2014年本決算は市場およびBOCIの予想通り、前年比12.7%の減益となったが、配当性向は13年並みを維持した。この先15-17年には他社の新規カジノ開業に伴う競争激化で、同社にとっては厳しい環境が続く見通し。BOCIはカジノ業界における同社のポジショニングの変化を反映させる形で、15-16年の利益見通しを下方修正し、この2年間の減益見通しを示した。同時に目標株価を引き下げ、株価の先行きに対する中立見通しを据え置いている。

14年通期のカジノ収入は前年比8.8%減の793億HKドル、調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は同10.5%減の77億6,000万HKドル、純利益は同12.7%減の67億3,000万HKドルだった。年間配当は1株当たり0.84HKドルの予定であり、配当性向は13年並みの72%となる。同社の純現金収支は引き続き230億HKドルの高水準にあり、この金額は1株当たりNAV(純資産価値)の約34%に相当する。

14年通期の決算内容が予想通りだったとは言え、14年10-12月期の低迷が同社株の売り材料となっており、先行きに対する慎重見通しも根強い。同社のカジノ収入シェアは15年1-2月に約25%に改善したものの、2月のカジノ総収入は市場予想の前年同月比40%減をさらに下回る可能性が高いという。

新規カジノリゾートが相次いで開業する15-17年には、同社のカジノ収入伸び率は他社を下回る可能性がある。カジノ以外のレジャー目的でマカオを訪れる旅行者が増えるとみられることなどが背景。BOCIによれば、同社にとっては当面、『グランド・リスボア』が“最後の砦”になるという。

BOCIはこの先の競争激化を見込み、15年のVIP部門、一般客部門のカジノ収入がそれぞれ前年比15%、4%減少すると予想。これに伴い15年の売上高、調整後EBITDA、純利益に関する予測をそれぞれ15%、20%、25%下方修正した。一方、16年のVIP、一般カジノ収入についても、前年比10%減、3%減を予想。売上高、調整後EBITDA、純利益見通しをそれぞれ22%、32%、38%下方修正している。

BOCIは同社株価が現在、15年予想PERで10.9倍、EV/EBITDA倍率で5.6倍の低水準にあるとしながらも、当面は低調推移が続くとの見方。DCF(割引キャッシュフロー)に基づいて目標株価を引き下げ、株価の先行きに対する中立見通しを継続した。