14年10-12月期に30%超の減収減益、新規カジノの開業遅れが懸念材料

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01128 永利澳門有限公司(ウィン・マカオ)  21.55 HKD
(02/05現在)
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ウィン・マカオの2014年10-12月決算は売上高が前年同期比32%減の59億HKドル、調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が同36%減の18億7,000万HKドルと、市場コンセンサス予想をそれぞれ20%、6%の幅で下押しした。中国本土での反汚職キャンペーンや一般カジノホールの禁煙措置などが響き、VIP、一般客の両部門ともに業績悪化が鮮明だった。BOCIは15-16年の利益見通しを下方修正し、新規カジノリゾート「Wynn Palace」の開業時期の遅れによるマイナス影響を予想。目標株価を引き下げ、同社株価の先行きに対して中立見通しを継続している。

10-12月期にはローリングチップ利用額の3四半期連続の落ち込みを受け、VIP部門の売上高が前年同期比42%減の45億HKドルにとどまった。2月には新たなVIPルームが開業する予定であり、ここにSun City、Guangdong Clubという有力ジャンケット(VIP仲介人)2社を誘致したことが短期的な売上増につながる見込み。ただ、BOCIはVIPカジノの需要委縮や、ジャンケットのコミッションに関する同社の競争力の欠如などから、その効力がどの程度続くか疑問視している。

また、一般客カジノ部門はホール内禁煙措置が響き、10-12月期に前年同期比15%の減収。カジノテーブル1台ごとの1日当たり収入は、前四半期比24%減、前年同期比10%減の10万5,000HKドルにとどまった。一般ハイエンド客というニッチ市場に特化した同社の場合、VIP部門と同様に需要委縮による打撃が大きく、テーブル再配置の余地も限られる状況。引き続き厳しい市場競争に直面する可能性が高いという。 また、コタイの新規カジノリゾート「Wynn Palace」の開業時期の遅れも、16年の利益見通しに影響する点で痛手。これまでは16年旧正月前の開業を予定していたが、経営陣は同年半ばにずれ込む見通しを示している。コタイ地区ではカジノ事業者各社が新規施設の開発を進めているが、同社だけでなく他社の開発計画にも遅れが出ており、16年の利益見通しが全般に不明確となりつつあるという。 BOCIは同社の収益見通しを大幅に下方修正し、うちVIP収入については14年の前年比17%減から15年には同23%減へ減収ペースが加速すると予想。16年に関しては同2.8%増を見込みながらも、「Wynn Palace」の開業遅れを不安視している。また、一般カジノ収入に関しては15年に前年比14%減、16年に同6.4%増を予測。スロットマシンについては15年、16年に同19%減、同1.8%減との見通しを示した。同社全体の15年の売上高、調整後EBITDA、純利益に関しては、それぞれ前年比17%減、18%減、12%減との見通しを明らかにしている。 15-16年の利益見通しの下方修正に伴い、BOCIは目標株価を15年予想PER16.8倍、EV/EBITDA倍率14.6倍の水準へ大きく引き下げ、中立見通しを継続している。