台湾のケリーTJに成長潜在力、電子商取引事業で最大手の座を強化へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00636 嘉里物流聯網有限公司 (ケリー・ロジスティクス)  12.28 HKD
(12/09現在)
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BOCIはケリー・ロジスティクスの台湾部門、ケリーTJロジスティクス(嘉里大栄物流)に対する訪問リサーチを行った。ケリーTJは台湾のLTL(トラック1台分未満)輸送サービスの最大手であり、主力のLTL業務の売上構成比は約80%。台湾の取引先の多くは中小企業であるために、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)サービスより、LTLの需要が大きい。台湾のLTLビジネスの約95%はB2Bで、残りがB2CやC2C。同社はこの先、調剤、電子商取引分野の物流ビジネスを強化することで、LTL最大手の座を固める方針という。親会社のケリー・ロジスティクスの売上高は2010-13年に年率33%の急成長を示したが、うちケリーTJの売上構成比は13年に10%で、物流部門に限ると22%。BOCIはケリーTJへの成長期待を示した上で、ケリー・ロジスティクスの株価の先行きに対して強気の見通しを継続している。

ケリーTJは台湾ロジスティクス市場で約45%のシェアを握る最大手(2位のHCTロジスティクスのシェアが約38%)。寡占市場であるために価格決定力が高く、台湾のLTL事業者の営業利益率は通常、中国本土の同業者を明らかに上回る。国際会計基準に基づくケリーTJのEBIT(利払い前・税引き前利益)マージンは、14年1-9月期に15.8%の高水準だった。また、この事業分野はライセンス取得の必要性や初期コストの高さといった点で参入障壁が高く、新規参入組は数えるほど。BOCIはこうした環境から、ケリーのリーディングポジションは安泰とみている。

ケリーTJは今年、「kerrygo」名のオンラインプラットフォームを立ち上げ、電子商取引ビジネスに参入した。C2C需要を主要ターゲットとし、第1段階では季節の果物の販売に特化する。既存のネットワークやトラックなどの資産が同社の強み。純粋な電子商取引事業者とは異なり、ワンストップ型サービスを提供することが可能となる。ただ、同事業は成長力が高い半面、人件費の増大をどう抑えるかが課題。ドアツードア・サービスには人手が要る上に、若いスタッフの不足が問題となっており、運転手を引き止めるための賃金アップも必要になるという。 BOCIが今回訪問した施設の一つは、ケリーTJの低温流通(コールドチェーン)用の冷蔵・冷凍倉庫。同社はトラック3000台のうち400台をコールドチェーンに振り向けており、この分野でも台湾有数。電子商取引ビジネスの拡大に伴い、コールドチェーンビジネスの需要拡大が見込まれている。 BOCIはケリー・ロジスティクスの台湾事業の売上構成比が10%にとどまることに言及しながらも、東南アジアに続いて2番目に収益力が高い地域である点を指摘。事業多角化戦略や成長潜在力を評価し、今後はケリー・ロジスティクスにとってのケリーTJの価値が段階的に高まるとみている。