米国子会社が7-9月期に大幅増益、米中事業の今後3年間の業績拡大を予想

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00288 万洲国際(ダブリューエイチ・グループ)  5.15 HKD
(11/10現在)
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万洲国際の米国子会社スミスフィールド・フーズの2014年7-9月期決算は、市場予想を上回る前年同期比340%の大幅増益となった。BOCIによると、商品相場動向が追い風となっただけでなく、万洲国際による買収を受けた経営効率化で採算性が大きく改善したという。一方、BOCIは中国子会社の河南双匯投資発展(深センA株:000895)を訪問し、包装肉製品の売れ行き悪化について理解が進んだと報告。経営陣による状況説明がコーポレートガバナンス面での投資家信頼度の回復につながるとみて、万洲国際の株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

スミスフィールドの7-9月期決算(米国会計基準)は売上高が前年同期比11%増の37億米ドル、純利益が340%増の1億5500万米ドルと、いずれもコンセンサス予想から上振れた。原材料コストが増大した包装肉製品を含め、全部門で採算性が改善。生鮮豚肉は製品価格が原料豚価格を上回る上昇率を示し、部門赤字が縮小。養豚部門の利益は積極的なヘッジや飼料コストの低減で過去最高の1頭当たり42米ドルを記録している。

一方、中国事業を担う河南双匯投資発展の包装肉製品の販売量が7-9月期に落ち込んだことについて、BOCIは◇即席麺メーカーがソーセージを使った宣伝活動を停止した、◇祝日シーズンのギフト需要、クーポン需要が弱かった――ことが影響したとみている。うちギフト需要の弱さは政府指導部が発した公務員のぜいたく禁止令、公費使い込み禁止令の影響であり、同社に限らず業界全体の問題。同社のシェアや競争力への悪影響は見られなかったという。この先10-12月期、15年1-3月期は前年同期実績が高いために販売伸び率の回復は期待しにくく、包装肉の15年の販売量目標(前年比10%増)の達成もかなり困難。ただ、中国国内の原料豚価格の上昇ペースが予想以上に緩やかであること、さらに同社が米国豚を低価格で仕入れることができることから、コスト上昇圧力は限られる見通しという。

万洲国際の純損益について、BOCIは13年通期の2億6300万米ドルの赤字から16年には11億700万米ドルの黒字に転じると予想。向こう3年間のコア利益伸び率が年平均25%に達するとみている。河南双匯のコア純利益に関しては13年の5億1400万米ドルから16年には6億8100万米ドルへ年率10%の伸びを達成するとの見方。その理由として業界統廃合の進行やシェア拡大見通しを挙げた。また、スミスフィールドに関しても養豚部門の黒字化や輸出の伸びを受けた業績拡大を予想。14-16年の純利益が5億米ドル前後に拡大する見通しを示している(13年コア純利益は1億6600万米ドル)。

万洲国際の株価は河南双匯の7-9月期の業績悪化を受けて約20%下落し、現在株価は14-15年予想PERで13倍、10倍の水準にある。BOCIは15年予想PER14.4倍をあてはめて目標株価を設定し、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。