通信キャリア2社が4G設備投資拡大へ、下期の収益成長回復を予想

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00552 中国通信服務股フン(チャイナ・コムサービス)  3.77 HKD
(08/29現在)
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中国の工業情報化部は8月28日、通信キャリア2社、中国電信(チャイナ・テレコム:00728)および中国聯合網絡通信(チャイナ・ユニコム:00762)が携帯電話4G規格「FDD-LTE」の試験運用エリアを各16都市から各40都市に拡大すると発表した。これにより、最大の取引先であるチャイナ・テレコムが下期に設備投資を強化する可能性が高まり、中国通信服務の収益成長が加速する見通しとなった。BOCIによると、同社株価は現在、2015年予想PER7.5倍、予想配当利回り4%の水準で取引されており、通信キャリア2社の投資拡大を材料とする有力な投資選択肢の一つとの見方。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

中国通信服務の2014年6月中間決算はさえない内容となり、売上高は前年同期比わずか4.3%増。純利益は同0.4%減の12億3800万元にとどまり、BOCI予想および市場予想を下回った。経営陣によると、増収率が小幅にとどまったのは、最大の取引先チャイナ・テレコムがFDD-LTE事業免許の発給を待ち、上期の設備投資を手控えたこと(国産4G規格TD-LTEの事業免許は13年末に交付されたが、FDD-LTEの試験運営認可が下りたのは14年6月下旬)。また、増値税(VAT)改革に絡み、通信キャリア側によるプロジェクト検査および支払いが遅れたことも影響したという。

対照的に、非通信キャリア向け国内事業および海外事業は堅調で、上期の売上構成比は計39.2%。売上増加分に占める両事業の割合は90%を超えた。また、キャリア向け事業にしても、中国移動(チャイナ・モバイル:00941)向け、チャイナ・ユニコム向けが合わせて11.1%の増収を確保し、チャイナ・テレコム向け業務の落ち込みをカバーしたという。一方、人件費高騰や競争激化に伴う値下げ圧力の高まりで、中間期の粗利益率は前年同期を1.1ポイント下回る14.3%。コスト管理の強化で純利益率は横ばい推移した。

通信キャリア3社は7月、基地局塔などの通信インフラ施設を建設・運営する合弁会社「中国通信設施服務有限公司」(CCFSC、通称:鉄塔公司)を設立する計画を明らかにしたが、中国通信服務の経営陣によれば、マイナス影響は限定的。同社としてはむしろ、CCFSCに絡む新たなビジネス機会を模索する方針という。

一方、チャイナ・テレコム、チャイナ・ユニコムはTD-LTE/FDD-LTEハイブリッドネットワークの試験運用エリアを各40都市に広げる運び。うちテレコムの上期の設備投資は通期予算の28.7%にとどまったが、下期には加速する見通しとなった。VAT改革の実施を受け、通信キャリアによる支払いも正常化する見込み。BOCIは増収率および粗利益率に関する想定値の修正に伴い、14-5年の予想純利益をそれぞれ4.8%、2.9%減額したが、15年予想PER10倍の水準に目標株価を引き上げ、強気見通しを継続した。