鋼材価格の一段の下落懸念も悪影響は限定的、製品構成調整で対応が可能

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00347 鞍鋼股フン有限公司(アンガン・スチール)  4.30 HKD
(05/21現在)
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BOCIは競争激化に伴う鋼材価格の一段の下落を懸念する半面、アンガン・スチールに関しては製品構成上の柔軟性を理由に、マイナス影響が相対的に小幅にとどまるとみている。同社の粗利益率は2014年第1四半期に平均10.7%。売上高の36%を占める熱延鋼板の粗利益率がわずか5%にとどまる一方、その他製品が13%の水準を確保した。相対的に規模の小さい同業他社とは異なり、アンガン・スチールは熱延鋼板から冷延鋼板へのライン切り替えといった製品構成の最適化で、一定の収益性を確保することが可能。BOCIは国内業界の余剰生産や鉄鉱石相場の下落を理由に鋼材価格の先行きに慎重見通しを示し、同社目標株価を引き下げたものの、株価の先行きに対しては強気見通しを継続した。

同社の熱延鋼板は主に自動車およびコンテナ製造業界向けに出荷されており、うち自動車業界は安定成長を持続している。一方、コンテナ製造業界は余剰生産と需要減速に直面しており、同業界向けの売り上げは13年に前年比で3%減少した。こうした状況下で利幅を確保するため、同社は熱延鋼板の生産ラインの一部を冷延鋼板に振り向けることが可能。中小鉄鋼メーカーの場合、技術力やコストなどの点から、こうした柔軟な対応は難しいという。 第1四半期の品目別の粗利益率を見ると、冷間圧延ケイ素鋼が35%と最も高く、シームレスタイプの線材がわずか0.18%で最も低かった。BOCIは現在までの主要鋼材の出荷価格や鉄鉱石相場を考慮し、第2四半期の粗利益率および売上高が前期比で安定推移するとの見方。また、1カ月分の在庫を消化した後には鉄鉱石価格の下落による恩恵が及ぶとみている。ちなみに輸入鉄鉱石価格は第1四半期に、1トン当たり平均877元(142米ドル、運賃込み)だった。 BOCIは同社の利益見通しを据え置きながらも、鉄鉱石相場の下落などを理由に鋼材価格の先行きに慎重。14年予想PBR(株価純資産倍率)0.60倍をあてはめる形でH株の目標株価を下方修正している。