800億元規模の優先株発行計画発表、Tier1増強へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01288 中国農業銀行股フン有限公司(アグリカルチュラル・バンク・オブ・チャイナ)  3.25 HKD
(05/09現在)
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中国当局が優先株発行の試験プログラムを発表したこと受け、中国農業銀行がこのほど、優先株発行を通じて最大800億元を調達する計画を発表した。主要発行条件などはおおむね、中国銀行業監督管理委員会(CBRC)の規定通り。Tier1(中核的自己資本)比率の増強が目的であり、BOCIは優先株発行を通じ、同比率が2014年末におよそ0.8ポイント上昇するとみている。また、仮に長期的に優先株をレバレッジ拡大に利用できれば、普通株主向けの収益率が向上すると予想。800億元の調達でレバレッジが11.5倍拡大すると仮定した場合、普通株主のROE(株主資本利益率)は16年に41ベーシスポイント改善し、優先株主向け配当利回りは6.5%になるとみている。BOCIは同行H株の目標株価を引き上げ、先行きに対する強気見通しを継続している。

同行によると、優先株の配当は調整インターバルごとの合意済み固定クーポンレートに基づいて支払われる。このクーポンレートは基準利率と固定プレミアムで構成され、うち基準利率は中国の国債利回りに準じる。固定プレミアムには発行時に設定されるクーポンレートと発行時基準利率との差異が適用され、いったん確定した後には調整されない。7年物国債の最終利回りは現時点で4.23%。商業銀行債券のプレミアムはほぼ1.57-4.57%の範囲。BOCIは流動性リスクを考慮した上で、同行優先株の配当利回りのプレミアムが2-3%になると予測している。

BOCIによると、優先株発行により、普通株主に帰属する同行利益は14年通期で2.4%程度目減りする可能性がある。レバレッジに対する小幅の影響が理由(6.5%の利回りを想定)。ただ、同行の14年通期純利益は前年比8.3%増加する見通しであり、普通株主帰属分の純利益は同5.3%の伸びを確保する見込み。やや長期の視点で見ると、優先株発行に伴う資金の活用で、普通株主向けROEは16年に41ベーシスポイント上向く見通しという。 一方、800億元を調達した場合、Tier1比率は9.34%から10.13%に上向く見込み。これにより、将来的な資産規模の拡大が可能となる。 BOCIによれば、同行の潜在的なリスク要因は◇地方経済の急減速、◇農村金融部門の競争激化を受けた優位性の後退(特にネット金融ブームを背景とした従来型融資チャネルにおける優位性の後退)、◇中小都市部での不動産価格の急落――。同行H株は現在、14年予想PBR(株価純資産倍率)0.88倍と、他の大手行銘柄とほぼ同水準で取引されているが、BOCIは中長期の資金調達や支店ネットワークの点で同行の優位性を指摘。同業銘柄を上回る株価プレミアムに値するとみて、先行きに対する強気見通しを継続している。