ダノンが2位株主に、今後のダノン粉ミルク部門の株式取得に期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02319 中国蒙牛乳業(チャイナ・モンニュウ・デイリー) 37.95 HKD
(02/12現在)
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仏ダノンが新株引き受けを通じ、中国蒙牛乳業の2位株主となる運びとなった。ダノンは中糧集団有限公司(COFCO)およびデンマークのアーラフーズとの合弁会社への資本参加を通じ、同社新株1億2100万株(増資後発行済み株式の6.2%)を引き受ける。引受価格は直近株価を15%上回る1株当たり42.50HKドルで、総額およそ52億HKドル。これに伴い、COFCO、ダノン、アーラフーズの持ち株比率はそれぞれ16.3%、9.9%、5.3%となる。BOCIは将来的に、乳児用粉ミルク事業におけるダノンとの合併の可能性を指摘。仮に中国蒙牛乳業がダノン中国の乳児用粉ミルク事業の権益50%を取得した場合、6%の利益上乗せが見込めるとの分析結果を明らかにしている。BOCIはまた、買収の可能性を反映させた上で目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げている。

BOCIが中国蒙牛乳業によるダノン粉ミルク部門の株式取得を予測する理由の一つは、ダノン側の業績不振。ニューランドの乳製品大手フォンテラの粉ミルクがボツリヌス菌に侵されていた事件の影響で、ダノンの粉ミルク販売は2013年下期に大幅に落ち込んだ。また、国内粉ミルク市場で出遅れている中国蒙牛乳業としても、シェア拡大を切望している事情があるという。

ただ、BOCIは中国蒙牛乳業によるダノン粉ミルク部門の全面買収は考えにくいとの見方。EPS希薄化を避けるための株式交換方式を通じた買収が、結果的にダノンによる持ち株比率の上昇につながる点を理由に挙げている。COFCOとアーラフーズの持ち株比率を考慮した上で、BOCIは「ダノンが9.9%超の株式を握るケースは考えにくい」との見方であり、中国蒙牛乳業による取得株が50%になる可能性が高いとしている。このケースにおいて、ダノンは自社中国法人のコアビジネスの支配権を維持することが可能。一方の中国蒙牛乳業は、中小都市部で傘下の雅士利国際(01230)、大都市部でダノンを通じた粉ミルク事業を展開することができる。

ダノン中国の粉ミルク部門の売上高、純利益は15年にそれぞれ44億元、6億1100万元となる見込み(純利益率14%)。一方、BOCIは同部門の株式50%の取得額が総額76億元(PER換算で25倍)に上ると予測している。中国蒙牛乳業に対する15年の純利益貢献は資金調達に伴う利払いなどを加味した上で推定1億4300万元。これは同年の予想純利益の6%に当たるという。

BOCIは原料乳調達コストの高騰を背景に13年下期決算が予想を下回る可能性や、輸入UHT牛乳との競争激化などを潜在的なリスク要因として指摘。EPSの希薄化や財務費用の縮小を反映させる形で14年、15年の予想EPSを各2%下方修正した。ただ、潜在的な買収の可能性を挙げ、目標株価を14年予想PER29倍の水準に引き上げた。