中期的に支援材料不足、16年の新規カジノ開業待ちか

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01128 永利澳門有限公司(ウィン・マカオ) 32.00 HKD
(02/05現在)
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2013年第4四半期にはウィン・マカオの業績回復が鮮明となった。10月にVIPテーブルを一般客向けテーブルに入れ替えたことなどが寄与した。ただ、BOCIはカジノテーブル単位のイールドに目を向ける同社戦略がすでに業界全体のトレンドとなっていることを指摘した上で、同期の好決算は織り込み済みとの見方。新たなカジノリゾート「ウィン・コタイ」が16年に開業するまでは支援材料に欠けるとみている。また、マカオ全体のカジノ総収入の伸びが1月に鈍化したことも不透明要因の一つ。BOCIは第4四半期の好決算を受けて利益見通しを上方修正しながらも、現在株価は値ごろ感に欠けるとの見方。同社株価の先行きに対して中立見通しを継続している。

第4四半期の売上高は前年同月比24.6%増、前四半期比12.3%増となる87億1000万HKドルに達し、市場コンセンサス予想を21%上回った。調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は前年同期比32.1%増、前四半期比13.7%増の29億1000万HKドルと、市場予想から9%上振れた。ローリングチップ利用額が予想を上回る前四半期比22.5%の伸びを示したことが、VIP部門の増収に寄与。VIPテーブル15台を回したことで、一般客部門も好調だった。

同社経営陣は16年第1四半期に予定される「ウィン・コタイ」開業までの間、現行ビジネスに注力する方針を明らかにしている。BOCIはこれがテーブル単位のイールドマネジメントの強化を意味するとし、12月のホテル客室の改装完了がプラス効果を生むとみている。ただ、当面は差別化戦略を欠くとの見方。さらにジャンケット(VIP世話人)が客室の75%を押さえている現状に触れ、現行戦略の強化による成長余力は限られるとしている。

第4四半期決算が予想から上振れたことで、BOCIは2013-15年の収益見通しを上方修正。予想売上高をそれぞれ3%、8%、7%、予想調整後EBITDAを4%、8%、7%の幅で増額修正した。また、予想純利益を4%、10%、8%引き上げ、13-15年の予想EPSを1.473HKドル、1.641HKドル、1.784HKドルに設定した。

BOCIは潜在的なリスク要因として、一般客部門の競争激化と、中国経済の減速に伴うカジノ市場全体の成長鈍化の可能性を挙げている。また、同社株価が14年、15年の予想EV/EBITDA倍率17.1倍、15.9倍の水準にあると指摘。DCF(割引キャッシュフロー)バリュエーションを基に値ごろ感に欠けるとみて、株価の先行きに対する中立見通しを継続した。