年内の「H8」発表で高価格SUV市場に参入、年間8万台の目標突破も

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02333 長城汽車(グレートウォール・モーター) 44.00 HKD
(10/08現在)
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長城汽車は年内に、同社初の中高価格SUVモデル「Haval H8」を発表する予定であり、これに伴い、マーケットポジショニングや価格の面から、合弁車種が中心となっている同価格帯市場に参入する。BOCIは消費アップグレードや旺盛な買い換え需要を背景に、中国SUV市場と米国など先進国市場とのギャップがこの先縮小するとの見方。特に中型・大型SUV市場に大きな潜在力があるとみている。また、同一クラスにおける価格競争力や高機能性といった差別化戦略を理由に、Haval H8が中・高価格市場でシェアを伸ばすと予想。発売から2-3カ月後には月間販売台数が5000-7000台に達する見通しを示した。BOCIは同社の2014年-15年の予想EPSをそれぞれ4.10元、4.90元に設定。14年予想PER11倍をあてはめる形で目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

中国のSUV販売の伸びはここ数年、乗用車全体の伸びを上回っており、13年上期には前年同期比41.6%増を記録した(乗用車全体では同13.8%増)。それでもSUV販売台数が乗用車全体に占めるシェアは現在およそ15%。米国など先進市場の25-30%を大幅に下回っており、この先の拡大余地が大きい。BOCIはSUV販売が2015年には12年(200万台)比で倍増するとの見方。同時に乗用車市場に占めるシェアが20%を超えるとみている。

H8のポジショニングは中型・大型SUVだが、この分野の成長余地は車種別で最も大きい。その一方で競争環境は相対的に緩やかであり、直接の競合車種はトヨタ「ハイランダー」と現代「ニュー・サンタフェ」。BOCIによれば、H8の年間販売目標は状況次第で8万台を上回る可能性があるという。

同社は向こう2年間にわたってSUV戦略を継続するとみられ、SUV販売は実際に好調を維持する見込み。H8に続き、同じく中高価格帯に属する「H7」、「H9」を14年末、15年に投入する計画であり、今後は同価格帯の比重が拡大する可能性が高い。

同社はSUV市場でトップシェアを握り、過去5年間にわたってシェア10%強を維持している。11年第4四半期に発売した初の都市向けSUV「Haval H6」の販売好調を背景に、12年には14.1%にシェアが拡大。13年7月に生産増強を実施した後、H6の月間販売台数は2万台の大台を突破し、競合車種のVW「Tiguan」やホンダ「CR-V」などを大幅に上回る水準に達した。一方、SUVの粗利益率は現在、31-32%。BOCIはH8の粗利益率が少なくとも35%に上り、1台当たり利益が約3万5000元に達するとみている。

BOCIの予想では、同社の総販売台数は13年-15年に77万5000台、94万5000台、105万5000台。SUVは40万8000台、56万台、65万5000台と推移する見通し。