13年6月中間決算は予想上振れ、メッセージアプリ投入効果に期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00728 中国電信(チャイナ・テレコム) 4.06 HKD
(08/22現在)
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チャイナ・テレコムの2013年6月中間期の純利益は前年同期比16%増の102億元と、市場コンセンサス予想、BOCI予想を上振れた。BOCIは13年上期および4-6月期の予想を上回る決算内容に加え、スマートフォン向けメッセージアプリ「易信(E-chat)」の投入がモバイルデータ業務の成長につながるとして前向きに評価。また、この先始まる4Gサービス業務の先行きを楽観し、同社株価の先行きに対する強気見通しを継続した。中国本土の通信キャリア3銘柄の中で、同社をトップピックとしている。

6月中間期には、主にモバイル・サービス収入の前年同期比54.6%の伸びが好決算に寄与した。3G加入者数の増加が背景。4-6月期の純増数は930万件となり、6月末時点の3G加入総数は携帯加入者全体の50%に当たる8730万件に達した。上期のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は3%増の501億元で、EBITDAマージンは前年同期を2.5ポイント下回る水準。一方、設備投資(330億元)の縮小を受け、フリーキャッシュフローは62%増加した。経営陣は13年通期の設備投資計画を800億元に引き上げ、上乗せ分の50億元をLTE試験ネットワークに振り向ける方針を明らかにしている。

中国でこの先始まる次世代4Gサービスにおいて、同社経営陣はTDD-LTE、FDD-LTEという2つの規格を同時に展開するハイブリッド型ネットワークを構築するとしている。現在運用するCDMA/CDMA2000ネットワークに加え、新たにTDD-LTEネットワークなどを整備するためにはかなりの費用がかかる見込み。BOCIはうちFDD-LTEをスマホおよび携帯端末利用者向け、TDD-LTEをデータカードおよびMiFi利用者向けに提供する可能性が高いとしている。

同社はこのほど、米ナスダック上場のネットイーズ(網易)と合弁事業を立ち上げ、新たなOTT(オーバー・ザ・トップ:通信キャリアを通さず、その頭越しに行われるネットサービス)製品「易信」を投入した。合弁事業の持ち株比率はチャイナ・テレコムが73%。「易信」のダウンロード件数は初日だけで100万件を超えたという。この新製品についてはユーザーインターフェースや機能などの点から一部利用者による不満も出ているが、BOCIは強気の見方。その理由として、◇成長著しいOTT市場に通信キャリア自らが積極参入する初めてのケースとなる◇アプリがダウンロードされていない端末に対して音声メッセージを残したり、SMSを送信したりなど、必要とされる機能を備えている◇相互運用型の開放システムとしての優位性を持つ――などの点を挙げた。中国では騰訊控股(00700)の無料通話メールアプリ「微信」が急成長を遂げているが、BOCIは「国内OTT市場は飽和レベルにはほど遠い」とし、新規参入余地は十分あるとの見方。また、開放型システムである「易信」が携帯端末利用の拡大という点で、短期的にチャイナ・テレコムに寄与するとみている。