14-15年も好決算持続へ、受注好調や粗利益率の回復が寄与

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03311 中国建築国際(チャイナ・ステート・コンストラクション) 12.28 HKD
(07/23現在)
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BOCIは受注の勢いが今後も続くとして、中国建築国際の2014-15年の新規受注予想値を6-8%、利益見通しを2-7%上方修正した。これに伴い目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。同社の13年上期末の受注残高は768億5000万HKドル。13年通期の予想売上高に対して約3倍の水準に達したという。

BOCIは14-15年の新規受注見通しを上方修正し、それぞれ前年予想比で17.7%増の510億HKドル、6.7%増の544億HKドルに設定した。MGMチャイナ(02282)からマカオ・コタイ地区でのカジノリゾート開発プロジェクト(105億HKドル規模)を受注したことに加え、◇中国本土の低所得層向け保障性住宅整備プロジェクトからの追加受注◇香港の大型インフラ開発プロジェクト10件に絡む追加受注――などの見通しが上方修正の理由。これに伴い、14年、15年の予想純利益をそれぞれ36億HKドル、45億HKドルに上方修正した。新たな予想値は年率平均28%の利益成長を意味する。実際、同社の足元の受注は好調で、13年上期の新規受注は前年同期比11.3%増の306億2000万HKドル。自社予想を7.5%上回り、BOCIの通期予想の71%を消化した。

また、粗利益率は13年上期から14年上期にかけてU字型で推移し、14年に急回復を遂げる見込み。13年下期には粗利益率の悪化が予想されるが、これは「香港-珠海-マカオ大橋」建設プロジェクトの利益寄与が、進ちょく率30%を超える13年末まで期待できないため。その代わり、建設工事が予定通り進めば、14年には1億6000万HKドルの利益を計上する見通しという。BOCIは13年、14年通期の予想粗利益率をそれぞれ12.0%、12.5%に設定している。

同社は12年に4.3%という異例の低金利でオフショアの資金調達を実施した上に、13年2月に発行した5億米ドル規模の社債は利回り3.125%。BOCIは13年の実効借入れ金利が3%前後に低下するとみている。その半面、中国でのBT(建設・譲渡)プロジェクトに際し、同社は約8%の金利で地方政府向け融資を行うことが可能とみられ、この先、純金利収入の伸びが予想されるという。

一方、売掛債権の焦げ付きに関する市場の警戒感について、BOCIは「リスクは限定的」とみている。人民元建て売掛債権は12年に59億8000万HKドル相当(主に地方政府向け)で、13年には107億HKドルに膨らむ見込み。回収分を差し引いた正味ベースでは13年末に77億HKドルに上る見通しという。ただ、BOCIは「経営陣が財政状況が相対的に良好な地方を選択している」「BTプロジェクトの売掛金は土地などの担保付きで、法的に守られている」ことなどを指摘し、過去の金融危機を乗り切ってきた経営陣のリスク管理能力に対する信頼感を示した。また、焦げ付きリスクが極めて低い香港事業の比重が約5割に上ることにも言及している。