急速な収益力向上を予想、チップ需要の伸びとハイエンド市場開拓で

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00981 中芯国際集成電路製造有限公司(エスエムアイシー) 0.64 HKD
(07/08現在)
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米国半導体工業会(SIA)が7月5日発表した最新統計によると、世界の半導体チップ売上高は5月に前月比4.6%増の247億米ドルに上った。この前月比の伸びは2010年3月以来の高水準であり、前年同月比では1.3%増。1-5月では前年同期比1.5%の伸びだった。また、3月-5月の移動平均売上高はその前3カ月を6.3%上回る水準に達した。世界売り上げの伸びをけん引したのは、いずれもエスエムアイシーの主力出荷市場である米国(5月に3.0%増)とアジア太平洋(同5.8%増)。13年通年の世界の半導体チップ売上高については当初、前年比横ばいあるいは減少が見込まれていたが、最新統計の好調を受け、下期に向けた期待も高まっている。BOCIは同社の13年4-6月期決算について、経営陣が示した予想レンジの上限に達すると予想。自律収益力の急速な改善を見込み、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

同社が採算に乗せるための設備稼働率の最低ラインは12年に90%だったが、40nm(ナノメートル)プロセスの利益率向上により、このラインが80%に軽減する見込み。BOCIは内部効率化やハイエンド市場での浸透、利益率の改善などを理由に、同社の収益力向上を見込んでいる。景気減速下にあっても、スマートフォンや消費者エレクトロニクス製品に対する膨大な国内需要がメーカー各社の成長を後押しする見通しという。先進テクノロジー分野における同社シェアは今のところ小さいものの、BOCIは今後の製品ミックスの改善に伴う成長潜在力は極めて大きいとみている。

エスエムアイシーはIBMと共同で28nmプロセス技術の開発に取り組んでおり、13年第4四半期にも生産を開始する予定。さらに15年半ばには20nmの生産をスタートさせる運びであり、BOCIは同社が中長期戦略に照準を合わせているとの見方だ。台湾TSMCはすでに28/20nmの最先端技術を有するが、エスエムアイシーは今のところ、国内の40nm市場における浸透率も低水準にとどまっている。BOCIは今後のBJファブ2期の稼動による40/28nmの生産(初期的には40nm)が実用ベースで行われると予測し、多額の赤字を生む可能性は低いと指摘。同社利益が13-15年に急速に上向くとみている。中国では現在、28/20nm需要は限られるため、同社戦略は顧客のニーズにもマッチするという。このほか、深センに開発中の8インチファブも、この先中古設備を調達し次第、利益に貢献するとみられている。なお、IHS iSupplyの推計によれば、中国のIC消費が世界全体に占める割合はおよそ3分の1。また、ファンドリ業界における同社シェアは12年に4.28%にとどまっており、この点でも成長潜在力は大きい。

BOCIは潜在的なリスク要因として中国経済の減速を指摘しながらも、目標株価を14年予想PBR(株価純資産倍率)1.2倍に引き上げ、同社株価に対して強気見通しを据え置いている。