天然ガス利用促進策が追い風、LNG船舶普及を受けた消費量の拡大に期待

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00135 昆侖能源有限公司(クンルン・エナジー) 13.02 HKD
(06/26現在)
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中国政府は大気汚染対策として天然ガスを含むクリーンエネルギー普及促進策を強化しており、LNG(液化天然ガス)自動車向けのタンク生産事業は現在、国内で数少ない急成長業種の一つとなっている。また、政策要因を背景にLNGバスの普及も急速に進み始めた。こうした中で最も積極的な動きを見せているLNG供給事業者が昆侖能源であり、LNG自動車の新規顧客開拓において大きな成果を挙げている。経営陣は『上海証券報』に5月末までに累計5万台を開発したと語ったが、BOCIは、うち年初からの開発台数は1万9000台で、第1四半期の計6000台から4月-5月には計1万3000台に急増したという。これにより、2013年通年目標5万台達成の可能性が高まった。

中国政府による天然ガス利用促進策は自動車分野にとどまらず、今後、船舶に拡大する見通しとなった。『中国証券報』によれば、交通部は水上交通分野のLNG利用に関するガイドラインを年内にも発表する見通し。同部はまた、15億元規模に上る「省エネ・排気削減戦略」の対象にLNG船舶を含めるという。同船舶や関連支援施設の業界スタンダードに関する規定も13年下期に発表される可能性が高い。これまでは関連規定が存在せず、LNG船舶開発の障害となっていた。

交通部傘下の研究機関のシニアエンジニアによれば、内陸部河川を運航する船舶およそ3万隻が「純軽油」型から「軽油/LNG」ハイブリッド型へのアップグレード対象に認定されたという。また、別の業界専門家によれば、船舶のLNG消費量は自動車の約10倍。船舶の開発がこの先、LNG市場の拡大を後押しする見通しとなった。昆侖能源は圧倒的なアドバンテージを持つ国内の有力事業者であり、LNG市場そのものの発展が確実にプラスとなる。なお、BOCIは現時点で、LNG船舶による貢献を同社収益モデルに組み入れていない。

同社は6月24日から25日前場に株価が急落したタイミングで、100万株の自社株買いを実施した。買い入れ価格は12.00-12.84HKドルで、この水準での値ごろ感を示唆した。ちなみに同社が自社株買いを実施するのは珍しく、BOCIのデータによれば、世界金融危機(2008年)以降初めて。今回の動きは先行きに対する経営陣の楽観見通しを示唆している。

BOCIは人民元為替相場に関する想定値の見直しに伴い(最新予測は13年末に1米ドル=6.2元、14年末に同6.1元)、13-15年の利益見通しを2-7%上方修正した。同社株価は前回リポートを発表した4月17日以降18%調整したが、LNG自動車1台当たりのLNG消費量が予想以下にとどまっているとのマイナス材料はすでに織り込まれたとの見方。潜在的なリスク要因として、原油相場の急落と天然ガス価格の急上昇を指摘しながらも、同社株価に対する従来の中立見通しを強気に引き上げた。