利ざや回復や貸出伸び率加速でファンダメンタルズが改善、配当性向の一段の引き上げも

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00302 永亨銀行(ウィンハン・バンク) 74.35 HKD
(05/31現在)
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BOCIは永亨銀行の利ざやの回復や貸出伸び率の加速を指摘し、ファンダメンタルズが改善傾向にあるとみている。また、このところの調整を受け、同行株価の予想PBR(株価純資産倍率)が2年ぶり低水準の1.01-1.08倍に下げたことで、目標株価(13年予想PBRで1.28倍)を据え置きながらも、従来の中立的な見方を強気に引き上げた。最近の調整については、MSCIグローバルスタンダード(香港)指数からの除外とMSCIグローバル小型株(香港)指数への採用(5月31日付)を受けたテクニカルな下げである可能性を指摘。今後は再び、利ざやの改善や貸出伸び率の加速、資本の強さ、増配の可能性を含め、同行のファンダメンタルズに焦点が移るとみている。

経営陣によると、2013年1-3月期には純金利マージンが1.65-1.67%と、12年下期の1.57%から8-10ベーシスポイント改善した。また、貸出伸び率は前四半期比2%強と、業界平均の3.1%に迫る水準に達した。12年には前年比4.8%増と、業界平均(9.6%)を下回ったものの、経営陣は13年の貸出伸び率(貿易手形を含む)を少なくとも1桁台後半に引き上げる目標を掲げており、BOCIは13年予想を7.4%から8.0%に上方修正した。また、資産の質についても安定傾向を見込んでいる。

BOCIは投資不動産の売却、高コストの劣後債の償還による自己資本比率、純金利マージン、配当政策へのプラス影響を見込み、市場はこの点を過小評価していると指摘している。うち投資不動産「ウィンハン・フィナンシャル・センター」の売却は6月5日に入札が締め切られる予定で、市場は売却価格17億-20億HKドルを見込んでいる。BOCIは仮に売却価格が予想の下限にとどまっても、売却益は1億1800万HKドルに上ると予測。この要因から、13年予想利益を6%上乗せした。売却後には同センターの約半分を賃貸することから、営業費用は1.6%膨らむ見通しながらも、中核的自己資本のTier1比率が上向き、配当性向の引き上げにもつながる見込み。同行は12年に配当性向を10ポイント引き上げ、35%としたが、13年には一段の引き上げの可能性もあるという。

一方、劣後債2億2500万米ドルの償還に伴い、純金利マージンは今後さらに上向く見通し。BOCIは全面借り換え、50%借り換え、全面償還という3つのシナリオを想定しながらも、経営陣がうち全面償還を選択する可能性を指摘し、その場合、自己資本比率が15.9%へ1.4ポイント低下するとした(さらに投資不動産の売却効果を加味した場合は16.6%)。この要因はTier1比率には影響しないものの、利ざや改善につながる見込み。年間1億6300万HKドル相当の支払い金利の削減により、純金利マージンが年率8.4ベーシスポイント上向く見通しという。BOCIは控えめな想定の下、同行の純金利マージンが13-15年に1.68-1.71%に改善するとみている(12年通期は1.62%)。