13年1-3月期は実質2桁増益、今後の利益率改善と欧州でのシェア拡大に期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01070 TCL多媒体科技控股有限公司(ティーシーエル・マルチメディア・テクノロジー・ホールディングス) 6.89 HKD
(04/25現在)
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TCL多媒体科技の2013年1-3月期決算は、売上高が前年同期比23.6%増の102億6000万HKドルに達する一方、純利益は同36.6%減の1億9600万HKドルにとどまった。前年同期に買収関連の特別利益1億4400万HKドルを計上した反動によるもので、この要因を除外した場合は18.8%の増益だった。同社はすでに旧型モデルの在庫処理を終え、続く4-6月期には新製品を発表する計画。BOCIは中国および欧州での新製品投入が13年の粗利益率改善に寄与するとし、欧州市場ではシェア拡大が進むと予想。同社株価の先行きに対して強気の見通しを明らかにしている。

1-3月期の液晶テレビ出荷台数は前年同期比21.5%増の390万台で、うち国内市場向けが同48.6%増の253万台。3Dテレビ出荷は同208.5%増の77万1523台と、国内出荷全体に占める割合は30%を上回った。

4-6月期にはハイエンドの4K UHDテレビ(4K解像度の超高解像度テレビ)と、複数の3Dテレビ、スマートテレビを発表する予定であり、これに伴う粗利益率の改善が見込まれている。また、大型テレビ市場への参入も利益率向上に寄与する見通し。BOCIは国内市場における同社の収益力を高く評価し、国内では3Dテレビの出荷比率が35%を超えると予想。また、40-60インチ型の出荷台数の伸びを見込み、こうしたトレンドが粗利益率の向上につながるとみている。

北京奥維営銷咨詢公司(AVC)によれば、中国では大型テレビの普及を背景に、テレビ小売市場が急速に拡大している。50インチ以上の大型テレビの販売シェアは13年1-3月に11.5%と、前年同期の6.7%から急増。これがサプライヤーの売り上げ増や利益率改善を後押しする見通しという。また、新型モデルの中ではスマートテレビと4K UHDテレビの急成長が見込まれ、AVCはスマートテレビ普及率が40%に達すると予想。4K UHDの13年の出荷台数については80万-120万台を予測している。

一方、BOCIは海外市場での同社のシェア拡大を見込んでいる。円安は日系メーカーの追い風だが、BOCIは日系テレビブランドのバリューチェーン(商品企画から販売までの業務活動)に占める日本国内の比重は小さいとし、円安によるプラス効果は限られるとの見方。短期的な円安が日系メーカーの撤退の動きに影響する可能性も低いと指摘し、こうした中、同社が13年に、特に欧州市場で成長を遂げる見通しを示した。同社の現在の海外戦略は、◇出荷台数が限られる北米ではプロモーションに照準を合わせる◇欧州では採算化の前段階としてシェア拡大を重視する◇新興国市場では利益重視戦略を取る――。BOCIはこうした戦略が海外市場での地位強化につながるとみて前向きに評価。海外ビジネス開拓においては、時期的に2013-14年がカギになるとみている。