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金鉱株の近況
広瀬 隆雄
わかりやすいグローバル投資レポート
グローバル投資に精通する広瀬隆雄氏に、新興国株式だけでなく、米国株、欧州株をはじめとする先進国株式など、海外全般の経済や投資ストラテジーをご紹介いただきます。

金鉱株の近況

2016/2/22
このところ金価格が反発しています。その背景には各国中央銀行が緩和的な金利政策を今後も当分の間維持せざるを得ないだろうという諦観が市場参加者の間に広がっていることがあります。
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【今日のまとめ】

  • 産金各社の減産により需給関係急改善
  • ハーモニーは経営改革が目覚ましい成果をあげている
  • バリック・ゴールドのキャッシュフローも急改善
  • ニューモント・マイニングも経営内容が改善している
  • アグニコ・イーグルは他社の逆を行く戦略を打ち出している
  • ヤマナ・ゴールドの当面の借金返済スケジュールには無理がない

出直る金価格

このところ金価格が反発しています。

その背景には各国中央銀行が緩和的な金利政策を今後も当分の間維持せざるを得ないだろうという諦観が市場参加者の間に広がっていることがあります。

これに加えて産金会社がようやく金生産を絞り込み始めたため、需給関係が改善したことも指摘できます。

ワールド・ゴールド・カウンシルによると、2015年第4四半期の産金会社からのゴールドの供給は、前年比-9%の809.8トンでした。その一方でインド(+6%)、中国(+3%)、米国(+6%)からのゴールドの需要は増加しており、全体で見ると需要は+4%でした。

2008年までは売り手に回っていた中央銀行が、近年は買い手に回っていること、ETFからの売り圧力が一巡したことなども需給改善の要因です。

ハーモニー・ゴールド・マインズ

ハーモニー・ゴールド・マインズ(ティッカーシンボル:HMY)は南アフリカ第3位の産金会社です。同社の米国預託証券(ADR)はニューヨーク証券取引所に上場されています。普通株:ADR比率は1:1です。発行済み株式数は4.36億株です。

同社は1995年から2007年までバーバード・スワネポルという経営者により経営されていました。スワネポルは2000年代半ばにライバルのゴールドフィールズ(ティッカーシンボル:GFI)を、「小が大を呑む」カタチで買収しようとし、それに失敗し、同社を去ります。

その後、南アの金山はどこも金塊のグレードが劣化し、採掘コストが上昇し、労働争議が頻発しました。そのような環境の中でハーモニーの業績も悪化しました。

同社はじっくりと現場のオペレーションを立て直すことで最近、ターンアラウンドしています。

先頃発表された2015年12月31日締めの第2四半期決算では売上高が3.21億ドル、EPSが1¢と黒字化しました。

金生産の際に発生する残土を、ていねいに極小化する努力で、グレードは+7%上昇しました。また生産高も+2%でした。その一方で採掘コストは-7%改善し、1オンス当たり950ドルに下がりました。

第2四半期の営業キャッシュフローは7,300万ドルでした。

同社は過去に比較的高コスト体質だったので、採掘コストが下がってくると業績は著しく伸びます。別の言い方をすれば、オペレーティング・レバレッジがあるわけです。

これに加えて、同社はパプア・ニューギニアにゴルプという金山を持っています。この鉱床はエンパイア・ステート・ビル5個分に相当する大きさで、2,020万オンスのゴールド、940万トンの銅が眠っているとされます。

その権益の半分をニュークレスト・マイニングに売却し、それで得た現金を負債の返済に充てました。

その関係で現在の同社の負債総額は1.6億ドルであり、これは産金会社としてはかなり少ない金額です。同社の場合、最近になって営業キャッシュフローが黒字転換したわけですが、目先は借金を返済することを経営の最優先課題とし、今年中に無借金経営に持って行きたいとしています。

バリック・ゴールド

バリック・ゴールド(ティッカーシンボル:ABX)は世界最大の産金会社です。同社は本社をカナダに置いていますが、同社株はトロント市場に加えニューヨーク証券取引所でも取引されています。また決算は米ドルで出しています。

バリック・ゴールドは買収に次ぐ買収で大きくなってきた経緯があり、比較的負債が多いです。

その関係で、金価格が低迷した折には高い負債比率が嫌気され、株価が低迷する原因となりました。

このため同社は徹底的なコスト管理で採掘コストを下げることを経営の最重要目標に据え、かなりの進捗が見られました。

先頃発表された第4四半期決算では、EPSが予想6¢に対して8¢、売上高が予想22.1億ドルに対して22.4億ドルと良い結果でした。

2015年は4年ぶりに営業キャッシュフローが黒字転換しました。通年の営業キャッシュフローは4.71億ドル、第4四半期は3.87億ドルでした。

フリー・キャッシュフローも下のグラフのように良い感じで改善中です。

負債の圧縮に関しては、2015年中に総負債額の24%に相当する31億ドルを返済しました。2016年の債務軽減目標は20億ドルです。

採掘コストの削減も快調なペースで実現しています。

2016年の採掘コスト目標は1オンス当たり775~825ドルです。

一方、金価格が低迷していたので、生産高は意図的に抑え気味にしてあります。2016年の金生産目標は500~550万オンスで採掘コスト目標は1オンス当たり775~825ドルです。

設備投資額は思い切り絞り込んでいます。

ニューモント・マイニング

ニューモント・マイニング(ティッカーシンボル:NEM)は米国最大の産金会社です。

ニューモント・マイニングの第4四半期決算は、EPSが予想14¢に対し10¢、売上高が予想18.2億ドルに対し18.2億ドルでした。

同社も採掘コストの削減に努力中です。2015年の採掘コストは前年比-10.4%の1オンス当たり898ドルでした。

一方、生産高は前年比+4.1%の500万オンスでした。

ニューモント・マイニングもバリック・ゴールド同様、設備投資を絞り込んでいます。

フリー・キャッシュフローは7.56億ドル(前年比+122%)でした。EBITDAは前年比+29%の27億ドルでした。純負債は去年にくらべて-19%でした。純負債対EBITDA比率は1.4倍でした。

アグニコ・イーグル・マインズ

アグニコ・イーグル・マインズ(ティッカーシンボル:AEM)はカナダの中堅産金会社です。同社株はトロント市場の他、ニューヨーク証券取引所でもトレードされています。

2015年通年の金生産高は167万オンスでした。採掘コスト(AISC)は1オンス当たり810ドルでした。これは会社側のガイダンスである850ドルより低いコストでした。

同社は2018年にかけて毎年155万オンス前後の金を生産してゆく計画です。採掘コストは850ドルから890ドルのレンジを予想しています。

同社は探索予算を倍増させる計画を持っています。これは大手産金会社の経営戦略の真逆を行くやり方です。同社の場合、低コスト体質ですし、営業キャッシュフローを生む力には問題は無いので、この戦略は理に適っていると思います。

2015年中に同社は負債を1.9億ドル圧縮しました。現在の総負債額は10億ドルです。長期負債の返済スケジュールを見ると、2016年は2,000万ドル、2017年は1.25億ドルが償還となります。現在、手元の現金は1.32億ドル、クレジット・ファシリティーは9.35億ドルあるので、返済能力に問題はありません。

ヤマナ・ゴールド

ヤマナ・ゴールド(ティッカーシンボル:AUY)はカナダのトロントに本社を置く産金会社です。同社の金山は主に南米に所在しています。

ヤマナ・ゴールドの第4四半期決算はEPSが予想-1¢に対して-8¢でした。金生産高は34.6万オンスでした。

2015年通年の金生産高は128万オンスでした。2016年に関しては123~131万オンスの金生産を見込んでいます。

ヤマナ・ゴールドの純負債は16億ドルです。このうち2016年に支払期限が来る借入は9,700万ドル、2017年は1,600万ドルです。このように向こう2年の返済スケジュールには無理は無く、十分フリー・キャッシュフローで支払できる見込みです。

採掘コストは2014年が954ドル、2015年が868ドルでした。2016年はこれが840ドルまで下がってくる見込みです。

一方、金生産高は2015年が128万オンスに対し、2016年は123~131万オンスを見込んでいます。

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