連休を控えて営業日数が少ない今週の国内株市場ですが、日経平均は19,500円台に乗せる場面が出てくるようになりました。11月の米大統領選挙後の株価上昇が始まって約一ヶ月半が経ちますが、あらためて株価チャートを眺めてみると「クリスマスツリー」を描いているような印象です(「トランプタワー」と言っても良いかもしれませんが)。12月21日(木)の取引も19,500円台を超える時間帯が目立っていましたが、終値では19,444円となり、終値ベースでの19,500円台乗せはひとまずお預けの格好です。

(図1)日経平均(日足)の動き(2016年12月21日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

早速、足元の状況を上の図1で確認してみます。

足元の日経平均は5日移動平均線がサポートとなり、前回のタイトルの通り上値を絞り出すような動きを見せています。ただ、12月21日(木)のローソク足が陰線となっているため、前日のローソク足との組み合わせにピントを合わせてもう少し詳しく見てみます。

前日(20日)のローソク足は陽線です。実体(始値と終値の値幅)は、始値が19,367円、終値が19,494円でしたので、値幅の中心は19,430円になります。21日の終値がこの19,430円を下回ってしまうと、いわゆる「かぶせ線」となって相場転換を示すサインになるのですが、幸いにも終値が19,444円だったため、明確な相場転換の兆候は回避されました。

とはいえ、足元の上昇は陰線が多いという特徴があります。ここ2週間(12月12日~)のローソク足のうち、陽線は13日、19日、20日の3本ですが、日銀がETF買いを実施した日(13日、14日、19日、20日)と重なっています。需給面の下支えで下値不安が後退しているため、「掉尾の一振」への期待も根強いとも言えますが、買いの力強さに欠けていると見ることもできます。

さらに、TOPIXのチャートでは、21日のローソク足が陰線かつ前日の陽線を包むような形になっています(下の図2)。

(図2)TOPIX(日足)チャート(2016年12月21日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

当日のローソク足が前日のローソク足を包み込むような形は「抱き線」と呼ばれ、特に天井圏で現れるのは「最後の抱き線」と言って、相場転換を示唆することが多いとされているため注意が必要です。また、5日移動平均線も下回っています。

先ほどのETF買いの思惑もあって、余程のことがない限り大きく相場が崩れることはないと思いますが、上値の重たさやひとまずの天井をつける可能性は高くなっていると考えるのが自然と思われます。大台の2万円まであと500円ほどですが、年内という期限内は少し厳しいかもしれません。

これまでの上昇ピッチが早かった分、短期の上値追いが終わって調整局面入りした時に、「どこで拾うか?」が売買タイミングの判断ポイントになりますので、あらかじめ調整レンジを想定しておく必要がありそうです。その参考になるのが下の図3にある「HLバンド」です。

(図3)日経平均の「HLバンド」チャート(2016年12月21日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成)

HLバンドとは、直近一定期間の高値と安値を結んだ線です。一般的には、一ヶ月間の値動き幅を探ろうという考え方から20日間程度に設定されることが多いです。HLバンドによって値幅の上限や下限の目安の参考になります。

現在は高値の線に沿って上昇していますが、調整局面入りした際には、移動平均線のほか、下限の線が意識されそうです。12月21日現在では18,000円水準ですので、ここまで下落する可能性も考慮しておいた方が良いかもしれません。

今年の大納会までいよいよあとわずかですが、次回は2016年の振り返りと2017年の見通しについて見ていきたいと思います。