注目のビッグイベントである米大統領選挙を迎えた今週の国内株市場ですが、投開票が進んだ11月9日(水)の日経平均は大きく下落したかと思えば、翌10日(木)は大きく反発する展開を見せました。10日の終値は17,344円となり、前日比1,092円高と1,000円を超え、現時点で今年最大の上げ幅になっています。

(図1)日経平均(日足)の動き(その1)(2016年11月10日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

あらためて足元の状況を上の図1で確認してみます。

まず、目に飛び込んでくるのは9日(水)の大きな陰線と10日(木)の大きな陽線です。この2日間の動きは、いわゆる「往って来い」の格好となりますが、結果的に10日(木)の取引終了時点で、日経平均は米大統領選挙前と変わらない水準を維持したことになります。

すぐさま下落した分を取り戻したことは評価できる点ではありますが、11月に入ってからの高値を結んだ線が短期的な上値抵抗ラインのようにも見えますので、安心感を持つには11日(金)以降にこのラインを超えることができるのかを見ていく必要があります。

また、7月半ばから続いた上昇トレンドはいったんリセットされたと判断した方が良いかもしれません。

7月半ばから続いた上昇トレンドは、9月に途切れる場面があったものの、2本の移動平均線(25日・75日)がサポートとして機能しながら形成してきましたが、9日(水)の取引で2本とも下抜けてしまいました。翌10日(木)にすぐ回復しましたが、下抜けという足跡を残したことで今後サポートとして機能しない可能性が高まったことになります。さらに、9日の安値(下ヒゲ)が、これまでに切り上がってきた下値を一気に下回ってしまったこともネガティブ要因です。

もっとも、リセットボタンが押されたとはいえ、必ずしも相場が崩れたことを意味するわけではなく、今後並んでいくローソク足が移動平均線をサポートに推移できれば、あらためて堅調な地合いを確認することになります。ただし、これまでよりも下げやすい地合いになっていることで、思わぬ調整の場面があるかもしれません。

そのため、しばらくのあいだは新たな水準や方向性を探ることになりますが、想定されるレンジはどのくらいになるでしょうか?参考になりそうなのが、第125回でも紹介しました「トリプルボトム崩れの呪縛」です(下の図2)。

(図2)日経平均(日足)の動き(その2)(2016年11月10日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

図2には、トリプルボトム形成時につけた、戻り高値どうしを結んだ線(ライン①)と、安値どうしを結んだ線(ライン②)を記載しました。

先ほども触れた7月半ばからの上昇トレンドはライン②に沿って上昇していたことが分かります。上昇トレンドは9月に一時的に途切れてしまい、ライン②の軌道から外れてしまう場面もありましたが、11月あたまにかけて再び近づく動きを見せています。

今後も引続きライン②に近づくことができるかが注目ポイントになります。逆に、下値はライン①を維持できるかが焦点になります。そのため、ライン②と①に挟まれた範囲が目先の想定レンジとして意識されそうです。

繰り返しになりますが、足元の状況はこれまでよりも下げやすい地合いになっていて注意が必要ですが、実は、週足チャートで見ると大事な「我慢の時期」でもあります。

(図3)日経平均(週足)の動き(2016年11月10日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

日経平均は昨年8月と12月の高値を結んだ上値抵抗ラインをこの3週間でようやく上抜けてきました。

また、図2で見たトリプルボトムの週足ベースのラインも図3に記載していますが、想定レンジは上値抵抗ラインの位置と重なっていますし、52週移動平均線とも重なっていることが分かります。

ココを我慢できれば年末の株高にも弾みがつくため、最後の試練なのかもしれません。