月跨ぎとなった今週の国内株市場ですが、日経平均は節目の17,500円台をうかがう場面が見られるなど、11月への堅調な滑り出しを見せたのですが、祝日休場前となる11月2日(水)の終値は17,134円となり、前日比で300円を超す大幅下落となりました。休場明けの4日(金)の始値は16,964円で、17,000円台割れのスタートとなっています。

(図1)日経平均(日足)の動き(その1)(2016年11月4日取引開始時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

まずは足元の状況を上の図1で確認してみます。

冒頭でも触れた通り、日経平均は2日(水)の取引で大きく下落しました。この日のローソク足が「窓」空けになっていることと、以前にも「トレンドのバトンがつながる」として意識してきた9月5日の高値(17,156円)も下回ってしまったことで、さらなる調整も想定せざるを得ない印象になってしまったと言えます。これがひとつめのポイントです。

その一方で、7月以降、相場が大きく崩れることなく17,000円台を何度もトライし、最近になってようやく17,500円も射程圏内に捉える水準まで株価水準を切り上げてきたこともあり、調整後に再び上昇基調に戻る可能性もあります。となると、足元の下落は「押し目買い」のチャンスと見ることもできます。これがふたつめのポイントです。

となると、トレンドの継続の見極めが目先の注目点になります。下の図2は、日経平均の平均足とMACDのチャートになります。

(図2)日経平均の平均足とMACD(2016年11月2日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

一般的に、平均足の転換後にMACDがクロスするとトレンド転換を示すサインとされていますが、10月あたまに平均足が陽転した後にMACDがクロスしたことで上昇トレンドが続いていました。ところが、2日の取引で平均足が陰転し、MACDがクロスしそうな格好になっていますので、少し注意が必要な状況になっています。

また、前回、「日経平均は25日移動平均線乖離率3%」が意識されていると触れましたが、移動平均線との乖離についても見ていきたいと思います。下の図3は日経平均の「エンベロープ」というものになります。エンベロープとは、中心となる移動平均線を上下にそのままずらして描いたものですが、ここでは、中心となる移動平均線はもちろん25日、エンベロープの幅は上下に3%、6%ずらして描いています。

(図3)日経平均のエンベロープ(25日移動平均線)(2016年11月2日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成)

上の図3を見ると、8月以降、日経平均は上下3%の範囲内で動いていたことが分かります。仮に、平均足とMACDがトレンド転換を示し、調整が進んだとしても、3%の範囲内で下げ止まれば、中期的なトレンドは維持されることになります。となると、下値のメドは、①現時点でちょうど17,000円台水準である 25日移動平均線自身をはじめ、②直近安値である10月14日の16,727円、③マイナス3%乖離の16,500円水準あたりが想定されることになります。

なお、上下3%の範囲を超えてしまうと、新たな局面入りとなりますが、その場合は上下6%の範囲が意識されます。今年に入ってからの日経平均の急落場面を振り返ると、多くの期間でこの範囲を超えたところで底をつけることが多くなっています。