今週の日経平均ですが、上昇基調が続き、10月19日(水)の取引時間には節目の17,000円台をつけ、翌20日(木)の取引は17,235円となり、終値ベースでも17,000円台乗せを達成しました。

(図1)日経平均(日足)の動き(その1)(2016年10月20日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

いつもの通り、足元の状況を上の図1で確認します。

前回(10月13日時点)では、大きな陰線かつ25日移動平均線まで押されていたこともあって、「ダブルボトム崩れ」が警戒されていたのですが、結局、25日線がサポートとして機能し、今週の上昇基調につながっています。

7月以降の値動きを振り返ってみると、25日線・75日線を問わず、移動平均線がサポートとなる場面が多かったことが分かります。こうしたサポートの積み重ねが、あらためて相場の底堅さにつながっていたと言えます。

「下げきらない相場」については、これまでにも何度か触れてきた通りですが、その一方で、上値が「重たい相場」であることも繰り返し触れてきました。

ただし、直近のローソク足を見ると、陽線が5本続けて並んでいるほか、20日の取引も高値引けで買いの勢いが感じられることや、株価水準も直近高値(10月11日の17,074円、9月5日の17,156円)を次々に上抜けています。9月5日の水準超えは高値更新を意味し、第129回でも紹介しました、「トレンドのバトン」がつながったことになります。ここにきて上値を伸ばしそうなサインが揃い始めている印象です。

週足チャートでも、52週移動平均線を今年になってはじめて上抜けてきました。52週線は1年平均の値動きを表しますので、ようやく、足元の株価が値動きの中心線よりも上回ったことになります。

(図2)日経平均(週足)チャート

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

ちなみに、週足チャートでは、①13週線と52週線のゴールデンクロスが実現できるか、②高値どうしを結んだ抵抗ラインを上抜けられるか、が次の注目点になります。

このように、チャートの形状からは今後の期待が膨らむ「良い形」になっていると言えますが、気になるのは、売買のボリュームです。10月に入って、東証1部の売買代金が2兆円に届いたのは20日(木)だけです。これまで、何度も「日経平均17,000円の壁」に阻まれてきたのも、買い騰がるだけの売買に欠ける点が指摘されてきました。

しかし、7月以降、17,000円の壁にトライするのは今回で5度目です。売買の少なさは、別の見方をすれば、「売りが多過ぎて、買い騰がれなかった」のではなく、「時間をかけて売り物を拾ってきた」と解釈することもできます。そう捉えれば、3カ月以上にわたって続いたもみ合い相場で市場のエネルギーが蓄積されたことになり、株価上振れの可能性も出てきます。まずは翌21日(金)の取引で17,000円台の滞空時間が試されることになります。

今週の取引を17,000円台乗せで終えることができれば、上値追いの展開になりそうですが、個人的には一気に上値を伸ばすというよりも、徐々に水準を切り上げていく展開になると考えています。「時間をかけて売り物を拾ってきた」ということは、過去に売買が盛り上がって高値をつけたところで再び売りをこなすことになるからです。

(図3)日経平均(日足)の動き(その2)(2016年10月20日取引終了後)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

上の図3をみると、4月下旬辺りがそれに該当します。この時の高値が4月25日の17,613円ですので、上値追いとなった際のメドとして意識されそうです。仮に反転したとしても、下値は引続き25日もしくは75日移動平均線がサポートになりそうです。

ちなみに、足元の株価は年初の下落時に形成したトリプルボトムの戻り高値どうしを結んだ線の延長線を上抜けてきました。次は、安値どうしを結んだ線の延長線に向かって上値を伸ばせるかどうかがポイントになりますが、ちょうど4月25日の水準でもあります。