日米の金融政策決定イベントを通過した9月23日(金)の日経平均ですが、16,759円でスタートしました。

(図1)日経平均(日足)の動き(2016年9月23日取引開始直後)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

あらためて足元の状況を上の図1で確認します。

真っ先に目に飛び込んでくるのが9月21日(水)のローソク足で、長い陽線になっています。それまでの日経平均は75日移動平均線近辺を彷徨っていたのが、一気に25日移動平均線を上抜けています。その理由はご存知の通り、日銀の金融政策決定会合の結果公表です。

21日(水)はとても力強いローソク足を示したわけですが、「上値の水準はどうか?」という視点で捉えると、この日の終値は16,807円でした。直近の高値を更新できておらず、祝日をはさんだ翌23日(金)は値を下げてスタートしています。日米の金融政策イベント通過の初期反応はひとまず好感されたものの、これまでの相場の地合いをガラリと変えるほどではないという印象です。これまでにも紹介した通り、年初に形成した「トリプルボトム崩れの呪縛」からの脱却にはもう少し時間の経過が必要になります。

日経平均は6月24日を底に下値を切り上げながら復調傾向を辿っていますが、下値の切り上げペースに比べて上値の更新ペースが緩やかなため、中長期スタンスではなかなか買いのタイミングが掴みにくい展開が続いています。

下の図2のように下値に注目し、「下げ渋った段階でトレンドラインを描き、ラインを上抜けたら買い」というように、短期的な仕掛けが有効な局面が多くなっています。足元の日経平均もちょうど買い仕掛けのライン近辺に位置しています。そのため、日経平均の上値余地はまだあると言えます。

(図2)日経平均(日足)の短期的な買い仕掛けポイント(2016年9月23日取引開始直後)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

また、TOPIXの動きにも注目してみます(下の図3)。

(図3)TOPIX(日足)の動き(2016年9月23日取引開始直後)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

図1の日経平均とは異なり、21日(水)のTOPIXは終値ベースで9月6日の戻り高値(1,352ポイント)に並んでいます。上値をトライするには良い位置にあると言えます。

日銀会合後の取引では銀行株を中心とした金融株が大きく買われました。TOPIXの値動きは時価総額の大きいメガバンク株の寄与度が大きいこと、また、日銀のETF買いでTOPIX型への割合を増やすことが決定されたことで「TOPIX>日経平均」となった格好です。

さらに、平均足とMACDでも平均足が陽転し、MACDもクロスしそうなため、上昇トレンド転換が期待されます(下の図4)。日経平均を引っ張っていけるほど、TOPIX上値キープの滞空時間が試される状況になっていると言えます。

(図4)TOPIX平均足(日足)とMACD(2016年9月23日取引開始直後)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)