本レポートは通常、木曜日の取引終了時点をベースに原稿を作成していますが、EU離脱を問う英国国民投票(BREXIT)の情勢を受けた株式市場が大きく下落したため、臨時でお送りします。

まずは、足元の状況を下の図1で確認します。

(図1)日経平均(日足)の動き(2016年6月24日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

兎にも角にも6月24日(金)の大陰線が目立っています。この日の日経平均終値は前日比1,286円安の14,952円でした。下げ幅が1,000円を超えるのは、いわゆる「バーナンキ・ショック」時の2013年5月23日以来です。この時は前日比1,143円安でした。

前回(といっても昨日ですが)は、「2月安値を意識しながらも、直近の高値と安値同士を結んだ線に挟まれたエリアを想定レンジとしましたが、下抜けてしまいました。その一方で、この日の安値が14,864円でしたので、2月安値(14,865円)とほぼ同じです。そのため、あらためて図1を見てみますと、2つの安値を基準として、2番底(ダブルボトム)を形成しているようにも見えます。ただし、今回はそう判断しない方が良さそうです。

2つの安値同士の期間は4カ月ほどありますが、その間の値動きは上下が繰り返されてきたため、どこにネックラインを設定して良いのか分かりにくいこと、そして、2番底と大雑把に把握するよりも、もう少し相場の局面を細かくした方が、今の状況を整理しやすいというのがその理由です。

そこで、相場の局面を細かく見ていきます。下の図2も同じく日経平均の日足チャートです。

(図2)日経平均(日足)の動き その2(2016年6月24日取引終了時点)

(出所:取引所公表データを元に筆者作成)

昨年12月1日の20,012円をピークに始まった日経平均の下落は2月半ばに下げ止まりましたが、その後はトリプルボトムを形成する動きとなっていました。4月後半まではネックラインを超え、そこまでは順調だったのですが、4月末の日銀会合後の急落でネックラインを下抜けてしまい、トリプルボトム崩れとなりました。その後は下値を切り上げつつ、上値も切り下がる格好での三角保ち合い相場が続き、先週あたりからこの保ち合いも下抜け、図1の下向きのレンジ相場へと至りました。そして24日(金)にこのレンジも下抜けたという状況です。

一般的に、底打ちからの戻りが強いのは、トリプルボトムのネックライン上抜け、三角保ち合いの上抜け、レンジ相場の上抜けの順になるとされているのですが、ちょうど日経平均もこの順番で登場し、すべて反対の動きなった格好です。ですので、戻りの勢いは次第に弱まっていることが分かります。また、相場が新たな局面に入りつつあると見ることもできます。

となると、図2の丸で囲まれた部分がどのように動くかが、今後の想定シナリオとなります。考えられるのは、①2月安値を意識しつつ、直近の想定レンジ内へ戻る、②下落トレンドの発生で下値をトライ、になります。

シナリオ①になることが望ましいですが、ここは好ましくないシナリオ②について見ていきます。下の図3は日経平均の平均足とMACDの推移です。

(図3)日経平均の平均足とMACDの動き(2016年6月24日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

前回のレポートでは、足元で日経平均の平均足が陽転し、MACDがシグナルを上抜けクロスしそうな状況になっていたため、明るい兆しとして紹介しましたが、24日(金)の下落によって上抜けクロスできず、結局、下落トレンド継続のままになってしまいました。また、この日の平均足を見てみますと、下ヒゲが長くなっています。ヒゲの長さはゆらいだ気持ちを表しますので、多少の混乱があったことが伝わって来ます。さらに、24日(金)の日経平均が2月安値水準に位置しているということは、海外株市場の動向待ちでひとまず様子を見ていると考えることもできるため、下値をトライする可能性が残っています。

下値のメドとしては、節目の14,000円が意識されそうです。下の図4は日経平均の月足チャートですが、ちょうど60カ月移動平均線が14,000円水準になるほか、アベノミクス相場の最初の上昇が一服し、黒田日銀バズーカⅡが決定する期間(2013年5月~2014年10月末)のレンジ相場のもみ合い下限が14,000円水準になっています。

(図4)日経平均(月足)の動き

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)