今週の日経平均は16,000円台中盤での値動きが続いています。5月19日(木)の終値は16,646円でした。

(図1)日経平均(日足)の動き(2016年5月19日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

足元の状況は上の図1の通りです。

前回は、2本の移動平均線をまたいで上昇する陽線が出現し、「2本抜き」の格好となったため、株価が上昇しやすい状況と指摘しましたが、そう言った舌の根も乾かない翌日には「逆の2本抜き」パターン(2本の移動平均線をまたいで下落する陰線)が出現してしまい、思った通りの上昇とはならず、当てが外れてしまいました(申し訳ございません)。

その後は、大きく上振れることも下振れることもなく、25日移動平均線を挟んだ値動きが続いていますが、ローソク足の並びを眺めても、ヒゲが長かったり、実体が短かったりと、あまりパッとしませんし、明確なサインも今のところ出ていません。

上値については16,800円水準が意識されているようにも見えます。まずは、この水準を突破(ブレイク)できるかが目先の注目になります。

一方、下値については、何だかんだで下値が切り上がっているほか、移動平均線も25日線が75日線を上抜ける「ゴールデン・クロス」を達成しているなど、地味ながらも相場の状況は改善しています。これまでに何度か紹介しました「売り仕掛けのトレンドライン」を見ても、日経平均がこのラインに沿って推移しています。

結果論では、5月の連休明けに買いを入れていれば利益を得ることができたわけですが、19日終値(16,646円)は、ちょうど前回(12日)終値と同値で、「往って来い」の状況です。相場の方向感が出ていない割には、下の図2のTickチャートを見ても分かるように、日々の値動きはかなり慌しくなっています。デイトレードをメインにするのであれば、上げ下げの場面が多い分、売買機会に恵まれていますが、日中も相場に向き合える時間的余裕を有する方でない限りは、相場の流れに合わせて売買タイミングを掴むのは非常に難しかったといえます。

(図2)直近の日経平均のTickチャート

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

また、別の角度からみると、足元の日経平均は小休止(ブレイク)の状態であるようにも見えます。チェックするのは、①4月のいわゆる「日銀プレイ」を巻き込んだ上昇幅(4月8日~25日)と、②追加金融緩和実施が見送られた日銀会合後の下落幅(4月28日~5月2日)です(下の図3)。

(図3)日経平均(日足)チャート その1(2016年5月19日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

①の期間で日経平均は約2,142円上昇していますが、その「半値押し」となる16,542円は最近の日経平均の値動きの中心水準です。また、②の下落幅は1,597円ですが、その「半値戻し」は16,773円と、直近の上値メドとなっている16,800円水準です。

つまり、日経平均はふたつの値幅の半値水準に挟まれている格好になっていて、足元の日経平均の地味な上昇が、目先のリバウンドにとどまるのか、このまま上昇が継続するのかを見極めている状況と言えます。

このレポートのタイトル「風林火山」の通り、「動かざること山の如し」といったところですが、相場の方向性は上と下のどちらを向いているのかを敢えて決めるのであれば、現時点では上方向と見ています。

下の図3は日経平均とRSIですが、日経平均とRSIが「逆行現象」になっています。この場合、日経平均が下値を切り上げる一方で、RSIが下値を切り下げる格好となっているため、トレンドフォロー型の逆行現象です。ですので、基本的には足元の相場地合い改善の流れが続くのではないかという判断です。ただし、「どこまで上昇しそうなのか?」という点においては、買いの勢いが感じられない分、微妙なところです。その意味でも、先ほどの16,800円水準の上値メド突破は、思った以上に大きな意味をもっているのかもしれません。

(図4)日経平均(日足)とRSI(2016年5月19日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

なお、①の半値押しを中心にチャートの表示期間を長くしてみますと、大きな相場レンジが見えてきますので、次のレンジ突破(ブレイク)の目処となりそうです(下の図5)。

(図5)日経平均(日足)チャートその2(2016年5月19日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)