年度を跨ぐ格好となった今週の日経平均ですが、相変わらず17,000円を挟んだもみ合いが続いています。年度末となる3月31日(木)の終値は16,758円の安値引けでした。

(図1)日経平均(日足)の動き(2016年3月31日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

いつもの様に足元の状況を上の図1で確認してみますが、値動き自体は前週とあまり状況が変わっていません。結局、3月は月間を通してほぼ日経平均17,000円水準でのもみ合いでした。前回のレポートタイトルの通り、膠着感と居心地の良さで落ち着いてしまっている状況です。

とはいえ、上値の切り下がりと下値の切り上がりによって形成されてきた「三角保ち合い」に先詰まり感があることや、ローソク足を囲んでいる25日移動平均線と75日移動平均線との距離も縮まってきています。新年度を迎えるタイミングということもあり、「そろそろ相場がどちらかにブレイクしそう」な雰囲気も芽吹いているように見えます。

ただし、上下のどちらにブレイクしそうなのかは正直読みにくいです。31日(木)の終値がこれまでサポートとなっていた25日移動平均線を下回ってしまったことや、2月に底を打ってからの戻り局面は、「横ばいから水準を切り上げて再び横ばい」という値動きとなっており、あらゆる材料を織り込みながら能動的に上昇してきたというよりは、環境の変化で水準自体は上下するものの、基本は次の材料待ちという受動的な株価の戻りだったことが予測を難しくさせています。

そんな中、上方向へのブレイクのカギを握るのは、前回も紹介した外国人投資家の買いです。ちょうど、31日(木)の取引終了後に東証が3月第4週分の投資主体別売買動向を発表しましたが、外国人投資家は12週連続の売り越しです。

(図2)外国人の買い越し・売り越し額の推移(2015年8月~2016年3月第4週)

(出所:東証公表データを元に筆者作成)

3月第2週の売り越し額が突出して目立っていますが、以降の売り越し額は減少傾向です。ただ、3月第4週(3月22日~25日)は祝日によって週4日立会いだったことを考慮する必要があり、まだまだ油断はできませんが、外国人が買い越しに転じれば支援材料になります。

足元の相場の膠着感は、中長期のシナリオが描きづらいという不透明感がもたらしていると思われますが、だからこそ、敢えて中長期のチャートでこれまでの動きを振り返ってみたいと思います。下の図3は、アベノミクス相場が始まった2012年からの週足チャートです。

(図3)日経平均(週足)の動き(2012年5月~)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

上の図3にもあるように、トレンド発生中の状況で3本の並行な線を重ねると、「強気~中間」や「中間~弱気」などのゾーンに分けることができます。2012年11月より始まったアベノミクス相場は、2015年の夏場まで駆け上がったわけですが、以降は下落トレンドに転じました。そこで今度は下落トレンドに合わせて下向きの3本の線を引いてゾーン分けをしてみます。足元の日経平均は弱気と強気の中間に位置しています。現在の下落トレンドに明確な変化の兆しが出るまでは、下落トレンドの中での強気や弱気のムードをざっくり把握することができ、ブレイクした際の値動きの目安として使えそうです。