「G20財務相・中銀総裁会合後、米雇用統計前」となった今週の日経平均ですが、3月3日(木)の終値が16,960円で、17,000円台をうかがう水準まで値を戻す展開です。また、今年に入ってから初めての3日続伸を達成しています。

(図1)日経平均(日足)の動き(2016年3月3日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

あらためて、足元の日経平均の動きを上の図1で確認してみますと、3月2日(水)~3日(木)の陽線が目立っています。2月の中旬以降、16,000円を挟んだもみ合いが続いていたこともあり、いわゆる「保ち合いの上放れ」の格好です。「さすがに2週間も方向感が出なければ売りの勢いも一服だろう」ということで、このまま戻りを試しそうな印象です。また、25日移動平均線も超えてきました。

さらに、前回のタイトルで「来週は下げ三法の形成に注意」とした週足チャートも見てみますと、3日(木)の取引終了時点で2月第二週の大陰線を上抜けており(下の図2)、このまま週末を迎えれば下げ三法とはならず、足元のムードはかなり改善してきたと言えそうです。

(図2)日経平均(週足)の動き(2016年3月3日取引終了時点)。

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

となると、「確かに足元の相場地合いは良くなってきているが、果たしてこのまま戻り基調が続くのだろうか?」が気になるところです。そこで、もう少し期間を延ばしたチャートでも確認してみます。
下の図3は日経平均(上段)とRSI(下段)の日足チャートです。

(図3)日経平均(日足)とRSIの動き(2016年3月3日取引終了時点)。

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

まず、上段の日経平均では、下落トレンドが始まった昨年12月から、「月の半ばまで下げ幅を拡大した後に、戻りを試す」というパターンを繰り返しています。また、戻りの目処として意識されてきたのが25日移動平均線(25日線)です。先程も触れたように、現在の日経平均もこの25日線を超えてきたわけですが、最初(12月中旬)はローソク足の上ヒゲが25日線に到達、2回目(2月あたま)は陽線と陰線の組み合わせ、そして今回は陽線2本の組み合わせと、25日線を「どのように上抜けてきたか?」については、段々と状況が良くなっているため、明るい材料です。

一方、下段のRSIにも視点を移してみますと、RSIの数値も高値を更新しながら推移していますが、日経平均の上値は切り下がっていますので、「逆行現象」になっています。第10回でも紹介しましたが、このパターンはトレンド転換型ではなく、トレンドフォロー型の逆行現象ですので、少し長めの期間で捉えると、まだ下落トレンドの余韻を引きずっている状況と考えられます。

次のトレンドに移行する夜明け前はチェックするテクニカル指標によって強弱が分かれるのは当然のことですし、戻り基調に期待して敢えて強気に出るべきか投資判断に迷うところです。ここ2日間のローソク足を見ても、打診買いが入っている可能性が感じられます。とはいえ、「もう少し状況を確認してから買ってみたい」という場合には、MACDが参考になるかもしれません。

下の図4は日経平均とMACDの推移になりますが、足元のMACDはシグナルを上抜け、線の傾きも上方向になっています。注目したいのは0円ラインで、MACDがココを超えるタイミングで買いを入れるというものです。過去の遡ってみますと、昨年の10月下旬に同じような場面があり、その後のトレンドに上手く乗ることができました。

(図4)日経平均(日足)とMACDの動き(2016年3月3日取引終了時点)。

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

MACDとは、短期と中期の移動平均線の価格差の推移を示した線ですので、MACDがマイナスということは、短期線よりも中期線の方が価格が高いことを意味しています。逆に、MACDが0円からプラスになるということは、短期線が中期線を上抜けたことを意味し、つまり、「ゴールデンクロス」なるという考え方です。

いずれにしても、買いの勢いが継続することがポイントである状況に変わりはなさそうです。