日経平均17,000円台の攻防で始まった今週の日経平均ですが、1月21日(木)の取引は16,017円の安値引けとなり、気が付けば16,000円台割れも視野に入る水準まで下落しました。この日は前日終値近辺でスタートした後、大きく上昇した場面があっただけに、後味の悪いものとなりました。昨年末からの下落幅も3,000円を超えています(下の図1)。

(図1)日経平均(日足)の動き (2016年1月22日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

市場では、騰落レシオ(25日)が60%を下回っているとか、東証の空売り比率が40%を超えているとか、日経平均の予想ベースのPERが13倍台まで下がったとか、東証1部の時価総額が500兆円割れとなり、国内名目GDP総額(500.7兆円)を下回ったとか、「買い場ではないか?」を示すサインが出まくっているのですが、なかなかムードの改善には至っていません。

ちなみに下の図2は2012年からの日経平均と騰落レシオの推移です。足元の数値がかなり低いことがあらためてわかります。

(図2)日経平均と騰落レシオの推移 (2012年1月~)

(出所:市場データを元に筆者作成)

昨年12月以降、かなりの下げ幅を見せているのですが、「下げ止まり感」がイマイチです。そこで、ここ最近の値動きをTickチャートでも見てみます(下の図3)。

(図3)日経平均のTickチャート (2016年1月14日~21日)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

見た目の印象では、「買いの勢いが続かない」ということです。例えば、15日や21日などはプラスで始まってもマイナスに転じてしまっています。確かに、下げ渋りやもみ合う場面も見られるものの、それが「反発のきっかけなのか?」、それとも「下落トレンドの一服に過ぎないのか?」の判断ができずに継続的な買いが入らず、その結果的としてズルズルと下げてしまっているように見えます。

短期的でも良いので反発のきっかけが欲しいところですが、そのポイントになりそうなのは、図1の5日移動平均線です。実は、年初からの日経平均は終値ベースでこの5日移動平均線を上回っていません。まずはこの線の回復が待たれます。

また、21日(木)の日経平均終値が16,017円となったことで、以前より指摘していた16,500円を下回ってしまいました。これにより、2014年10月末に発表された、日銀の追加金融緩和第2弾、いわゆる「黒田バズーカⅡ」によって導かれた上昇分が帳消しになりました。

下の図4は日経平均の週足チャートです。バズーカ前の日経平均は14,000円~16,000円のレンジ相場が約1年半にわたって続いているため、売買の厚みがある価格帯であることが分かります。そのため、ここからさらに下落していくにもかなりのエネルギーが必要になり、中期的には底打ちの可能性が高まってきたと思われます。

その一方で、足元の日経平均は、バズーカ直後の「ふりだし」に戻ったことで、再スタートを切ったと言えます。底打ち後のある程度の戻りは期待できるものの、このまま再び上昇トレンドに復帰というシナリオの実現性はかなり低下したと考えられます。

(図4)日経平均の動き(週足)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)